気管支喘息は、すべてではありませんが好酸球性の炎症により起こります。では、好酸球性の炎症を指標に喘息治療を行うと転帰が改善するでしょうか?
■ 気管支喘息は、すべてではないものの好酸球性の炎症が主体になります。
■ 喀痰好酸球も呼気一酸化窒素も好酸球性のマーカーのひとつですから、この数値をみながら喘息をコントロールできないかを考えます。
■ そのテーマのメタアナリシス。
Petsky HL, et al. Tailoring asthma treatment on eosinophilic markers (exhaled nitric oxide or sputum eosinophils): a systematic review and meta-analysis. Thorax 2018:thoraxjnl-2018-211540.
呼気一酸化窒素に基づく喘息管理 16研究(うち成人7研究)と喀痰に基づく喘息管理6研究(うち成人5研究)に関し、喘息の転帰がかわるかを検討した。
背景
■ 喘息ガイドラインは、喘息管理に必要な最小限まで治療を合わせるように医療従事者をガイドしている。
■ 喘息患者の多くは好酸球性エンドタイプであるため、気道好酸球レベル(喀痰好酸球や呼気一酸化窒素[FeNO])に基づいて喘息薬を調整することで、喘息のアウトカムが改善される可能性がある。
目的
■ 小児および成人の喘息に関連したアウトカムを改善するために、好酸球性炎症マーカー(喀痰分析とFeNO)に基づき喘息薬を調整するというアップデートされたコクラン・システマティックレビューからのエビデンスを合成する。
データソース
■ 2017年2月までの標準化された検索によるコクラン・レビュー。
研究の選択
■ コクランレビューでは、主に臨床症状および/またはスパイロメトリー/ピークフローと比較した、喀痰分析やFeNOに基づいた喘息薬の調整というランダム化対照比較が含まれた。
結果
■ FeNOに基づく管理 16研究(うち成人7研究)と喀痰に基づく管理6研究(うち成人5研究)があり、臨床的に不均一だった。
■ 経過中、喀痰好酸球による戦略にランダム化された参加者は、増悪する可能性が有意に低かった(1回以上の増悪が、100人中82人 vs 62人; OR 0.36; 95%CI 0.21〜0.62)。
■ FeNOによる戦略にランダム化された場合、増悪する可能性は成人OR 0.60(95%CI 0.43〜0.84)および小児0.58(95%CI 0.45〜0.75)だった。
■ しかし、吸入ステロイド薬連日の投与量(試験終了時)、喘息管理、肺機能において、どちらの戦略についても、群間の有意差はなかった。
結論
■ 気道好酸球マーカーに基づく治療を調整することで喘息増悪の可能性は低下したが、喘息コントロールや肺機能には有意な影響はなかった。
結局、何がわかった?
✅ 喀痰好酸球による戦略で管理されたた参加者は、喘息が増悪する可能性が有意に低かった(1回以上の増悪が、100人中82人 vs 62人; OR 0.36; 95%CI 0.21〜0.62)。
✅ 呼気一酸化窒素にによる戦略で管理された場合、やはり増悪する可能性は低下し、成人OR 0.60(95%CI 0.43〜0.84)および小児0.58(95%CI 0.45〜0.75)だった。
好酸球性の炎症マーカーを指標に喘息をコントロールできるというメタアナリシスの結果ではあるが、、
■ 呼気一酸化窒素を利用した喘息コントロールは、かならずしも良い結果ばかりではありません。
Szefler SJ, et al. Management of asthma based on exhaled nitric oxide in addition to guideline-based treatment for inner-city adolescents and young adults: a randomised controlled trial. The Lancet 2008; 372:1065-72.
■ ですので、今後の報告にも注意しておきたいと思っています。
今日のまとめ!
✅喀痰中好酸球数・呼気一酸化窒素による喘息管理は、喘息増悪リスクを減らしたが、まだ検討は要すると思われる。