アトピ—性皮膚炎も、慢性じんま疹も外来ではよく診られる疾患ですが、それらに関連があるかもしれないという報告。
■ 慢性特発性蕁麻疹は4週間以上続く原因不明のじんましんであり、小児期も決して珍しくはありません。
■ また、小児期でも思ったより薬をなしに出来るまで長く罹ることが多いです。
■ その慢性特発性蕁麻疹が、アトピ—性皮膚炎があると発症リスクがあがるかもしれないという報告をご紹介します。
Kitsioulis NA, et al. Assessment of atopic dermatitis as a risk factor for chronic spontaneous urticaria in a pediatric population. Allergy Asthma Proc 2018; 39:445-8.
小児2261人に関し、幼児期のアトピ—性皮膚炎がその後の慢性特発性蕁麻疹のリスクになるかどうかを評価した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)と慢性特発性蕁麻疹(chronic spontaneous urticaria; CSU)は、最も一般的な慢性炎症性掻痒性皮膚疾患の2つである。
■ 主に、関連した疫学的・病因学的データが不足しているため、アトピー性皮膚疾患とCSUとの関係は議論の余地がある。
目的
■ 幼児期のADの病歴が、その後の小児の集団におけるCSU発症の危険因子であるかどうかを評価する。
方法
■ 2014年6月~2016年8月に、ギリシャのアテネにある三次小児病院の外来アレルギー部門を受診した患者の新規発症例における後ろ向きデータを分析した。
■ CSUとADの診断は、それぞれEuropean Academy of Allergy and Clinical Immunology(EAACI)とHanifinとRajka基準によって提案された診断基準に基づいていた。
■ 分析されたデータには、CSUおよびADの診断と、アレルギー関連疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、AD、食物・薬物アレルギー)の病歴と家族歴だけでなく性別および出生季節との関連が含まれた。
結果
■ 小児2261人の記録が解析に含まれた(男児1365人;年齢の平均±標準偏差[SD] 8.7±5.8歳)。
■ 小児51人(男児31人;年齢の平均±SD 9.1±4.6歳)がCSUと診断され、ADは761人(男児466人;年齢の平均±SD 5.2±3.8歳)で報告された。
■ 多変量データ解析により、幼児期にAD診断歴のある児は、その後のCSU発症リスクが高いことが示された(オッズ比 2.923 [95%信頼区間 1.647-5.189]; p <0.001)。
■ 患者の他の人口統計学的特性やアトピー関連特性に関して、有意な関連性は観察されなかった。
結論
■ この研究結果は、ADがその後のCSU発症における重要な危険因子になりうることを示した。
■ この概念は、うまく設計された前向きコホートとともに、さらなる研究を正当化する。
結局、何がわかった?
✅ 乳児期のアトピ—性皮膚炎の既往は、その後の慢性特発性蕁麻疹のリスクを2.923倍(95%信頼区間 1.647-5.189)にする。
アトピ—性皮膚炎は、慢性特発性蕁麻疹のリスクになるかもしれない。
■ 私は、このことは逆にも言えると考えています。すなわち、アトピ—性皮膚炎の治療を丁寧にすると、慢性特発性蕁麻疹のリスクを減らすかもしれないということです。
■ 実際に臨床上も実感されるので、私は慢性じんま疹のお子さんに対してスキンケアも推奨しています。
今日のまとめ!
✅ 乳児期のアトピ—性皮膚炎は、その後の慢性じんま疹のリスクになるかもしれない。