アトピー性皮膚炎は睡眠の質を低下させる

アトピー性皮膚炎はかゆみにより睡眠を悪化させます。

■ アトピー性皮膚炎は掻痒(かゆみ)を特徴とします。

■ そのかゆみは様々に生活の質を低下させますが、その中でも睡眠の悪化は、本人にとっても家族にとってもつらいものです。

■ その睡眠障害に関する大規模コホート試験の結果をご紹介いたします。

 

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Ramirez FD, et al. Association of Atopic Dermatitis With Sleep Quality in Children. JAMA Pediatr 2019:e190025. [Epub ahead of print] PMID: 30830151

エイボン出生コホート試験に参加し1歳時に生存している児 13988人に関し、16歳までのアトピー性皮膚炎と睡眠の関連を検討した。

重要性

アトピー性皮膚炎(atopic dermatiti; AD)の特徴である掻痒は睡眠を阻害すると考えられているが、このコモンな小児期状態の疾患活動性と重症度のバリエーションが、経時的な睡眠パターンとどのように関連し得るかについてはほとんど知られていない。

 

目的

■ 活動性のADに罹患している小児において小児期の複数の時点で睡眠時間と質が傷害されているかどうか、そして疾患重症度が睡眠の転帰に影響するかどうかを決定する。

 

デザイン、セッティング、参加者

■ この縦断的コホート研究は、英国のエイボンにおける人口ベースの出生コホートである、「Avon Longitudinal Study of Parents and Children」に登録された小児のデータを使用した。

■ 参加者は1歳時に生存している児 13988人であり、16歳まで自己申告されたADと睡眠をの測定を繰り返した。

■ この調査は、1990年から2008年までに収集されたデータに基づいた。

■ データ分析は、2017年9月から2018年9月まで実施された。

 

主な結果と測定

■ 睡眠時間の標準化された尺度と、夜間覚醒・早朝覚醒・入眠困難・悪夢といった睡眠の質に関する複合的な尺度を、2〜16歳の複数の時点で繰り返した。

 

結果

■ 試験サンプルは、中央値11年間(四分位範囲[IQR]5~11年)追跡調査された小児13988人(男児 7220人[51.6%])で構成されていた。

■ このうち、4938人(35.3%)が2歳から16歳でアトピー性皮膚炎を患っているという定義を満たした。

■ 総睡眠時間は、すべての年齢層において、活動性ADに罹患している児とADに罹患していない児で同様であり、そして小児期の平均推定差は、ADをに罹患している児において1日当たり2分少ないという、臨床的に無視できる差だった(95%CI、-4〜0分) 。

■ これとは対照的に、活動性ADのある児はすべての時点でより悪い睡眠の質を報告する可能性が高く、睡眠の質の障害をより多く経験する可能性が50%近く高かった(調整オッズ比[aOR] 1.48; 95% CI, 1.33~1.66)

活動性疾患がより重症(悪いADもしくは非常に悪いAD:aOR 1.68; 95%CI 1.42〜1.98)および喘息またはアレルギー性鼻炎を併発している(aOR 1.79; 95%CI 1.54〜2.09)児は睡眠の質がより悪かった

■ しかしながら、軽症AD (OR 1.40; 95%CI 1.27~1.54)もしくは非活動性のAD(OR 1.41; 95%CI 1.28~1.55)である児でさえ、睡眠の質が損なわれる可能性が統計的に有意に高まった

 

結論と関連性

アトピー性皮膚炎は小児期を通じて睡眠の質の低下と関連しているように思われた。

■ したがって、臨床医はADに罹患しているすべての小児 (特に喘息もしくはアレルギー性鼻炎を併発している/重篤な疾患の患者)における睡眠の質を考慮する必要があり、睡眠の質を改善するための介入が必要である。

 

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結局、何がわかった?

 ✅ 活動性のアトピー性皮膚炎である児は、睡眠の質がより悪化した(調整オッズ比[aOR] 1.48; 95% CI, 1.33~1.66)。

 ✅ アトピー性皮膚炎がより重症(aOR 1.68; 95%CI 1.42〜1.98)、喘息またはアレルギー性鼻炎を併発している(aOR 1.79; 95%CI 1.54〜2.09)児は睡眠の質がより悪かった。

 ✅ 軽症のアトピー性皮膚炎でも (OR 1.40; 95%CI 1.27~1.54)もしくは非活動性のADでも(OR 1.41; 95%CI 1.28~1.55)、睡眠の質が損なわれる可能性がより高かった。

 

アトピー性皮膚炎のかゆみは、睡眠を悪化させさまざまな問題を引き起こします。

■ アトピー性皮膚炎はそのかゆみから、その児だけでなく家族の生活の質に大きく影響します。

■ アトピー性皮膚炎は悪化すると身長にも影響してきます。

■ やはり、早期に治療を行い、その重症度を下げる必要性がありますし、さらにはアトピー性皮膚炎の寛解を目指したいところです

 

今日のまとめ!

 ✅アトピー性皮膚炎は、軽症でも睡眠の質を悪化させ、アトピー性皮膚炎の重症度が高いほど、また、喘息やアレルギー性鼻炎を併発するとさらに睡眠の質を悪化させる。

 

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