以下、論文紹介と解説です。

Maruyama N, et al. Gly m 5/Gly m 8 fusion component as a potential novel candidate molecule for diagnosing soya bean allergy in Japanese children. Clin Exp Allergy 2018; 48:1726-34.

大豆アレルギーが疑われた小児 91人に関し、負荷試験の結果と各種大豆コンポーネントの診断性能を評価した。

背景

■ 大豆は、小児において主要な食物アレルゲンである。

Component‐resolved diagnostics(CRD)により、免疫グロブリンE(immunoglobulin E; IgE)依存性食物アレルギーの診断精度が向上した。

 

目的

■ 我々は、組換え技術を用いて大豆アレルギーの診断のための新規コンポーネントを開発することを目的とした。

 

方法

大豆アレルギーが疑われた日本の小児患者 91人が含まれ、症状あり 40人および症状なし 51人が経口食物摂取試験によって分けられた。

■ 各組換えアレルゲンコンポーネントに対する特異的IgE(sIgE)抗体をELISA法により解析し、コンポーネントの診断性能をreceiver operating characteristic(ROC) 曲線の曲線下面積(AUC)で評価した。

 

結果

■ 組換えコンポーネントにおいて、Glym8特異的IgE抗体価は、最も高いAUC(0.706)を示した。

■ Gly m 8とGly m 5α 'サブユニットとの組み合わせは、単一コンポーネントの診断性能より良かった。

■ さらに、Gly m 5αサブユニットのN末端伸長領域(ビシリン間の交差反応性が低い)は、Gly m 5 full‐length α 'サブユニット(AUC 0.613)より高い診断性能(AUC 0.695)を示した。

■ これらの結果に基づき、Gly m 8とGly m 5α 'サブユニットの伸長領域との融合タンパク質を作成した。

■ この融合タンパク質は大豆アレルギーの診断に非常に有効だった(AUC 0.801)

 

結論

■ Gly m 8とGly m 5α 'サブユニット伸長領域の融合タンパク質は、小児の大豆アレルギー患者を診断できるかもしれない。

■ 融合タンパク質は、改善された診断価値を有する新規のアレルゲンコンポーネントを作成するために有用かもしれない。

 

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これからは、「融合蛋白コンポーネント」により診断性能をさらにあげる時代が来る可能性があるかも。

■ 「融合蛋白コンポーネント」の報告は、はじめてみました。

■ こういう方法が使えるならば、今後診断性能を上げることができるかもしれませんね。

 

今日のまとめ!

 ✅ 大豆アレルギーの診断性能として、Gly m 8が単一コンポーネントとしては最も良好だが、Gly m 8とGly m 5α 'サブユニット伸長領域の融合タンパク質は、さらに診断性能が良いかもしれない。

 

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