以下、論文紹介と解説です。
Togias A, et al. Rhinitis in children and adolescents with asthma: Ubiquitous, difficult to control, and associated with asthma outcomes. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2019; 143:1003-11. e10.
喘息児749人の鼻炎と喘息に関する1年間の症状の関連を評価した。
背景
■ 鼻炎と喘息はリンクしているが、この関連には相当な理解のギャップが存在する。
目的
■ 喘息のある小児および青年における鼻炎の有病率とそのフェノタイプを明らかにし、鼻炎のコントロールに対する症状の重症度と薬物の必要量を評価し、鼻炎と喘息との関連を調査した。
方法
■ Asthma Phenotypes in the Inner-City studyに参加した喘息児749人が試験開始時に評価され、1年間にわたり鼻炎と喘息のアルゴリズムに基づく治療を受けた。
■ 鼻炎は、それぞれの症状に焦点を当てたアンケートを用いて診断し、あらかじめ定義されたフェノタイプは症状パターンと皮膚テスト、血清特異的IgE抗体価の測定を組み合わせて決定した。
結果
■ 6回の受診のうち少なくとも4回を完了した喘息の小児619例について分析を行った。
■ 鼻炎は93.5%にみられ、試験開始時に同定されたフェノタイプは観察/管理されている年度中に確認された。
■ 季節性に増悪を伴う通年性アレルギー性鼻炎が最も多く(34.2%)、重症だった。
■ 非アレルギー性鼻炎は最も少なく(11.3%)、最も軽症だった。
■ 多くの小児は経口抗ヒスタミン剤の使用の有無やステロイド点鼻の使用にもかかわらず症状が残存していた。
■ 鼻炎は、コントロール容易な喘息患者よりコントロール困難な喘息患者 で悪化し、その季節性はコントロール困難な喘息患者と部分的に一致した。
結論
■ 鼻炎は都市部の喘息小児の多くが罹患しており、その活動性は下気道疾患の活動性をたどる。
■ 季節性に悪化する通年性年アレルギー性鼻炎は最も重症のフェノタイプであり、コントロール困難な喘息と関連する可能性が最も高い。
■ この研究は,鼻炎と喘息が気道の2つの部分において1つの疾患の症状を表すという概念を強く支持する。
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気管支喘息は、通年性アレルギー性鼻炎の重症度の影響を強く受ける。
■ 小児喘息に対する鼻炎の併存率もさることながら、その鼻炎の重症度は喘息コントロールに強く影響を受けるといえます。
■ 実際、アレルギー性鼻炎の治療を行うと救急受診がへるという報告もあります。
■ 鼻炎がありながら喘息がない児に対する免疫療法が、その後の喘息の発症リスクを抑えるとする報告もでてきており、喘息治療の際に鼻炎への配慮をすることが今後さらに重要視されてくるでしょう。
■ 喘息治療においては聴診だけでなく鼻の状態も確認するように心がけたいものです。
今日のまとめ!
✅ 通年性アレルギー性鼻炎は、喘息のコントロールを悪化させる。