以下、論文紹介と解説です。

Paller AS, et al. The atopic march and atopic multimorbidity: Many trajectories, many pathways. J Allergy Clin Immunol 2019; 143:46-55.

アトピーマーチの最新のレビュー。

抄録

■ 「アトピーマーチ」は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)発症後に、喘息および/またはアレルギー性鼻炎の発症率の増加を認める。

AD発症後にアレルギー疾患を発症する機序は十分には解明されていないが、皮膚バリアの障害が関与している可能性があり、それは皮膚感作を促進する。

■ この関連性は、皮膚の炎症に対し全身性のTh2優位の免疫応答によって、感受性のある人では誘導もしくは増幅される。

■ しかし、これらの関連は、単に共通の遺伝子座と、マイクロバイオームの調節異常を含む環境的誘因が関与しているだけかもしれない。

時間的な連鎖は、各疾患の組織特異的な発症のピーク時期を反映し、マーチよりも疾患の集積性を示しているかもしれない

■ 前向き縦断的コホート研究は、アトピー性疾患の皮膚炎後発症と潜在的予測フェノタイプ、遺伝子型、環境因子の関係を探索する機会を提供する。

■ 最近の研究は、疾患の重症度と持続性、発症年齢、親のアトピー歴、FLG(フィラグリン)変異、多抗原感作、農村でない環境が、ADに罹患している児における複数のアレルギー性疾患の発症に対する危険因子と関連づけている

■ 皮膚バリアを修復したり、微生物叢やアレルゲンへの曝露を変化させる介入研究は、Th2活性化のリスクと発症順序に対するバリア障害、遺伝子座の変化、環境曝露に対する相対的役割を明らかにするかもしれない。

 

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アトピー性皮膚炎がアレルギー体質を増幅させアトピーマーチを引き起こすことは多くの報告があるが、そのルートだけではない。

■ 皮膚からの感作は大きなルートではあるものの、アトピー性皮膚炎があればすべてが他のアレルギー疾患につながるわけではありません。そして、アトピー性皮膚炎以外からアトピーマーチがはじまる可能性もあります。

■ アトピー性皮膚炎側からみても、「より重症で」「より持続し」「より低年齢で」発症するとアトピー性皮膚炎は持続しやすくなり、感作が進みやすいことは複数のコホート試験であきらかになっています。

■ そこに、それらアレルギー疾患が「重症にならないように」で、「持続しないように」、「乾燥素因(家族歴など)があればより丁寧に」、「多抗原に感作されるまえに」、介入していく理由があります。

■ そういう意味では、介入目標が多種にわたりますが、「介入できるかどうか」も重要でしょう。

■ その「介入できる目標のひとつ」が皮膚になりますが、より多くの方法がわかってくれば、さらに効率的にアトピーマーチを防ぐことができるようになるかもしれません。

 

今日のまとめ!

 ✅ アトピーマーチの最新のレビューが報告された。

 

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