以下、論文紹介と解説です。
Ekback M, et al. Severe eczema in infancy can predict asthma development. A prospective study to the age of 10 years. PLoS One 2014; 9:e99609.
乳幼児期に湿疹を呈している小児123人を、アレルゲン感作・湿疹の重症度・4.5歳と10歳におけるアレルギー性気道症状の発症に焦点を当ててフォローした。
背景
■ 乳幼児期にアトピー性皮膚炎がある児はアレルギー性鼻結膜炎(allergic rhinoconjunctivitis; ARC)、喘息を発症することが多いが、アレルギー性疾患と他の疾患との関係はより複雑であると考えられることから、「アトピーマーチ」という用語に疑問が呈されている。
目的
■ このプロスペクティブな多施設研究では、乳幼児期から10歳までに湿疹のある小児を、アレルゲン感作、湿疹の重症度、4.5歳と10歳におけるアレルギー性気道症状の発症に焦点を当ててフォローした。
方法
■ 対象者は123名だった。
■ Hanifin‐Rajkaの診断基準と、SCORADを用いて湿疹を記録した。
■ 喘鳴エピソードを登録し、皮膚プリックテストやIgE検査を実施し、アンケートは記載された。
■ ARCと喘息に対する追加検査と共に、4.5と10歳で手順を繰り返した。
結果
■ 123人中94人が全試験を完了した。
■ SCORAD高値は、ARC(B=9.86; P=0.01)や喘息(B=10.17; P=0.01)の発症リスクと相関した。
■ 試験開始時に湿疹や喘鳴がある乳児は、喘息を発症するオッズ比(OR)は4.05(P=0.01)だった。
■ 4.5歳におけるARCは、10歳時点における喘息発症リスクがOR 11.28(P=0.0)だった。
結論
■ SCORAD高値である乳幼児期の湿疹が、10歳時点での喘息の発症リスク増加と関連することを示唆する。
■ 乳幼児期に湿疹や喘鳴を呈している児は、湿疹のみの乳幼児よりも喘息を発症しやすい傾向がある。
■ そして、ARCの早期発症が併発している乳幼児期の湿疹は、喘息発症に至ることが多い、より重症のアレルギー疾患を示すと思われる。
■ この研究で示された、乳幼児期の湿疹からの幼児期のARCや小児期後期の喘息への進行は、少なくとも、より重症のアレルギー疾患における「アトピーマーチ」という用語の妥当性を支持する。
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乳幼児期のアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻結膜炎は、その後の喘息発症リスクとなる。
■ アレルギーマーチの概念は次のステップに移ろうとしている印象もありますが、アトピー性皮膚炎の重症度がその後のアレルギー疾患の発症リスクになることは動くことはないでしょう。
■ この研究は、すでにアトピー性皮膚炎を発症したお子さん達のコホートになります。
■ ですので、目の前のアトピー性皮膚炎を発症している乳幼児期の湿疹に対する治療は、やはり丁寧にしておきたいと思います。
今日のまとめ!
✅ 乳幼児期のアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻結膜炎は、その後の喘息発症リスクとなる。