以下、論文紹介と解説です。

Parker CM, Cooper MN. Prednisolone Versus Dexamethasone for Croup: a Randomized Controlled Trial. Pediatrics 2019; 144:e20183772.

生後6ヶ月以上のクループ症候群で受診した1252人を、デキサメタゾン0.6 mg/kg群 410人、低用量デキサメタゾン0.15 mg/kg群 410人、プレドニゾロン1mg/kg群 411人にランダムに割り付け、1時間後のクループ症状スコアと再診率を調査した。

目的

■ 小児のクループ治療におけるプレドニゾロンや低用量デキサメタゾンの使用は、ひろく使用されているにもかかわらず、厳密なエビデンスが不足している。

■ そこで本研究では、デキサメタゾン0.6 mg/kg、低用量デキサメタゾン0.15 mg/kg、プレドニゾロン1mg/kgを比較した。

 

方法

■ 西オーストラリア州パースの第三次小児救急部門および都市部救急部門1部門を対象とした前向き二重盲検非劣性ランダム化比較試験だった。

■ 参加基準は、生後6か月以上、体重最大20kg、電話で接触可能、英語を話すことができる保護者だった。

■ 除外基準は、プレドニゾロンまたはデキサメタゾンアレルギーの既往、免疫抑制される疾患または治療、過去14日以内のステロイド療法または試験への登録、他の診断の臨床的疑いが高いことだった。

計1252人の参加者が登録され、デキサメタゾン0.6 mg/kg群 410人、低用量デキサメタゾン0.15 mg/kg群 410人、プレドニゾロン1mg/kg群 411人にランダムに割り付けられた

■ 主要評価項目は、治療1時間後のWestley Croup Scoreと、治療後7日間の予定外の医療機関への再診だった。

 

結果

■ 試験開始時の平均Westley Croupスコアは、デキサメタゾン群 1.4、低用量デキサメタゾン群 1.5、プレドニゾロン群 1.5だった。

デキサメタゾン群と比較した1時間の補正スコアの差は、低用量デキサメタゾン群 0.03(95%信頼区間-0.09~0.15)、プレドニゾロン群 0.05(95%信頼区間-0.07群~0.17)だった。

デキサメタゾン群の再診率は17.8%、低用量デキサメタゾン群 19.5%、プレドニゾロン群 21.7%だった(有意差なし [P=.59と.19])。

 

結論

■ 低用量デキサメタゾンとプレドニゾロンの両方において、デキサメタゾン0.6 mg/kgに対する非劣性が示された。

■ 経口ステロイドの種類は、急性および治療後1週間のいずれにおいても、有効性に対して臨床的に有意な影響を及ぼさないようである。

 

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クループ症候群の外来治療としては、デキサメサゾン0.15mg/kgを標準治療としてよさそうだ。

■ すでにGLでは0.15mg/kgが提示されているものの、非劣性を示すには、大規模スタディが必要になります。

■ そういう意味で今回の結果は、日常診療に影響がある報告と言えましょう。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 小児クループ症候群に対するステロイド治療効果は、デキサメタゾン群0.6mg/kg群、デキサメタゾン群0.15mg/kg群、プレドニゾロン1mg/kgで差は無さそうだ。

 

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