以下、論文紹介と解説です。
Bailey S, et al. Restaurant staff's knowledge of anaphylaxis and dietary care of people with allergies. Clinical & Experimental Allergy 2011; 41:713-7.
90施設のテーブルサービスを行うレストランのスタッフに、食物アレルギーの知識に関するアンケート調査を実施した。
背景
■ 食物によるアナフィラキシー反応により引き起こされる死亡は増加しており、大多数が家庭外で購入した食物により引き起こされている。
■ アレルゲン除去による一次予防が望ましいものの、外食時よりも家庭での方がより容易である。
■ 外食の場合、責任はレストランのスタッフと共有されることになる。
目的
■ 食物アレルギーに関するレストランスタッフの知識を調査する。
方法
■ ブライトンのテーブルサービスを行うレストラン90施設に対し、構造化された電話アンケートが実施された。
結果
■ 連絡を受けた56%(162施設中90施設)のレストランが参加することに同意した。
■ 回答者には、オーナー7人、管理者48人、ウェイター20人、シェフ15人が含まれていた。
■ 90%(90人中81人)が食品衛生訓練を受けていると報告した。
■ 33%(90人中30人)が特定の食物アレルギートレーニングを受けていると報告した。
■ 56%(90人中50人)が、3種類以上の食物アレルゲンを挙げることができた。
■ 81%が、食物アレルギーのある客に、安全な食事を提供する自信(非常にまたはある程度)があると報告した。
■ 真偽の質問への回答は、(以下のように)よくある誤解を示した。
■ 38%は、アレルギー反応がある人はアレルゲンを希釈するために水を飲むべきだと考えていた。
■ 23%は、少量のアレルゲンなら摂取しても安全だと考えていた。
■ 21%は、完成した食事からアレルゲンを除去すると安全であると報告した。
■ 16%は、食物を調理することでアレルギーの原因となることを防ぎ、12%はアレルギーが死を引き起こす可能性があることを知らなかった。
■ 48%が、食物アレルギーのさらなるトレーニングに関心を示した。
結論と臨床的妥当性
■ 自信レベルが高かったにもかかわらず、レストランスタッフのアレルギーに関する知識には明らかなギャップがある。
■ 食物アレルギー患者はこれを認識し、それに応じて行動を適応させる必要がある。
■ このデータは、レストランのスタッフに対する現在の食物アレルギートレーニングの効果に疑問を呈しており、より厳格で利用しやすいトレーニングの必要性を支持する。
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外食時のスタッフの食物アレルギーに対する知識は、個々人で差が大きいことを想定したほうが良いと思われます。
■ この食物アレルギーに対する知識の問題は、よく経験されるテーマではあります。
■ もちろん、レストランスタッフに対する教育プログラムも重要ですが、誤食はどうしても起こりうる問題ですし、個々人の知識のギャップをゼロにすることは困難でしょう。
■ システムから考えないと難しい場合が多いように思います。
■ ですので、個人レストランよりはチェーン店のほうがむしろリスクが低いのではないかと、私はお話しています(エビデンスは乏しいですし、重篤な患者さんはそれでも難しい場合が起こりえます)。
※すこし情報が古くなってきているようですが、外食・お出かけ情報に下記のような本もあります。
今日のまとめ!
✅ (ファーストフード店ではない)テーブルサービスのレストランにおける食物アレルゲンの知識は、個々人の差が大きく、アレルゲン混入のリスクがありうる。