以下、論文紹介と解説です。
Beck C, et al. Persistent food allergy and food allergy coexistent with eczema is associated with reduced growth in the first 4 years of life. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2016; 4:248-56. e3.
HealthNutsコホート試験に参加した児に関し、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎が1歳時・4歳時で影響しているかを検討した。
背景
■ 小児を対象とした横断研究において、食物アレルギーは低体重や低身長と関連していると報告されている。
■ しかし、このテーマは経時的な成長を調べるための縦断的研究では検討されておらず、さらに、先行研究では併存するアトピー性皮膚炎が原因と説明していなかった。
目的
■ 本研究の目的は、IgE依存性食物アレルギーやアトピー性皮膚炎と、1歳および4歳時の身体的な測定値との関連を調べることだった。
方法
■ 集団ベースのHealthNutsコホート試験では、1歳時にリクルートされた乳児は、卵、ピーナッツ、ゴマに対する皮膚プリックテストを受けた。
■ 感作されていた児は経口食物負荷試験を実施された。
■ 食物アレルギーが持続もしくは軽快したかを判断するために、食物負荷試験は4歳まで繰り返し実施された。
■ アトピー性皮膚炎は、親からの診断の報告と定義した。
■ 親が報告した体重と身長、児の健康記録データを用いて、World Health Organization(世界保健機関; WHO)の図表から年齢と性別で調整したパーセンタイルを算出した。
■ 多変量線形回帰モデルを適用し、潜在的な交絡因子に対する体重と身長調節に対する食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の影響を検討した。
結果
■ 1歳時に食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の両方がある児は、いずれもない小児と比較して、1歳時での平均体重(51.3 vs 58.3 percentile; P=.001)と身長(48.4 vs 53.4 percentile; P=.028)が低かった。
■ 1歳時では食物アレルギーのみの小児とアトピー性皮膚炎のみのある児との間に差は認められなかった。
■ しかし、4歳まで食物アレルギーとアトピー性皮膚炎が持続している児では、食物アレルギーが軽快した児と異なり、身長が低く体重も軽かった。
結論
■ 食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の両方がある児は、幼児期を通してより身長が低く、より体重が軽く、持続している食物アレルギーのある児ではより顕著な差があった。
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アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの治療をはやめに開始できることにこしたことはない。
■ 日本人の平均身長はずっと伸びてきていましたが、最近になって頭打ちになり、すこし低くなってきたという報告があります。
日本人の平均身長は低下傾向。低出生体重児増加が影響している可能性あり (Morisaki N, et al. Ecological analysis of secular trends in low birth weight births and adult height in Japan. J Epidemiol Community Health 2017; 71:1014-8.)
■ その理由として、低出生体重児が増えて来ているからという考察があります(私も未熟児上がりで、小柄なほうですけど…)。乳児期の身長体重は永続的になり得るといえるでしょう。
■ アトピー性皮膚炎で睡眠が不十分になったり、食物アレルギーのために栄養バランスが不十分だと小柄となり、それが永続的になる可能性があると言うこともいえるかもしれません。
■ アトピー性皮膚炎からできるだけ早めに脱し、食べられるもののバランスを取れるような治療をすすめることの重要性を感じます。
今日のまとめ!
✅ アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが持続すると、小柄になるリスクがあがるかもしれない。