以下、論文紹介と解説です。
Agache I, et al. EAACI Guidelines on Allergen Immunotherapy: House dust mite‐driven allergic asthma. Allergy 2019; 74:855-73.
欧州アレルギー・臨床免疫学会(EAACI)は、チリダニ類(HDM)依存性アレルギー性喘息の追加治療としての免疫療法のガイドラインを作成した。
■ アレルゲン免疫療法(Allergen immunotherapy; AIT)はアレルギー疾患の治療に100年以上使用されている。
■ 喘息治療は、喘息コントロールの達成と維持、増悪の予防、QOLの改善に推奨され、主にステロイドやその他のコントローラーに依存する。
■ しかしAITは、小児や成人喘息において十分に使用されていない。
■ 特に、薬物療法(生物製剤を含む)で十分にコントロールされていないアレルギー性喘息患者は、十分応じられていない健康上の必要性を示している。
■ European Academy of Allergy and Clinical Immunology(EAACI; 欧州アレルギー・臨床免疫学会)は、house dust mites(チリダニ類; HDM)依存性アレルギー性喘息の追加治療としてのHDM AITの使用に対するエビデンスに基づく勧告を提供する臨床診療ガイドラインを作成した。
■ このガイドラインは、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation (GRADE) アプローチを用いたワーキンググループによって作成された。
■ HDM AITは投与経路・小児と成人で別々に評価された:
■ 皮下免疫療法(subcutaneous AIT; SCIT)、舌下免疫療法(sublingual AIT; SLIT)(滴下&錠剤)。
■ それぞれに対する勧告が策定された。
■ HDM AITによる治療を成功させるための重要な前提条件は、 (a) AITが有効である可能性が最も高い患者の選択、 (b) アレルゲン抽出物の使用、有効性が証明される脱感作プロトコルである。
■ 現在までに、錠剤によるHDM SLITを用いたAITのみが成人において重要なエンドポイント(増悪、喘息コントロール、安全性)に対し、確固とした効果を示している。
■ したがって、コントロールされているHDM依存性アレルギー性喘息(条件つきの推奨、moderate‐quality evidence)の定期治療への追加治療、もしくは不完全コントロールのHDM依存性喘息の定期治療の追加療法として推奨される。
■ HDM SCITは成人と小児に推奨される。
■ 滴下によるSLITは、コントロールされている喘息の定期治療の追加として(症状と薬剤の必要性を減少させるため)、小児のHDM依存性アレルギー性喘息に推奨される(条件つき推奨、low‐quality evidence)。
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小児に対する(気管支喘息における)舌下免疫療法は、まだ十分なエビデンスとはいえないようですが、、、
■ 免疫療法は、薬物療法とはことなり、自然歴(その疾患の予後)を変える可能性が指摘されています。
■ 皮下注射におけるダニの標準製剤がなかったことに問題はあったのですが、2014年にダニの標準化作業が完遂され、2015年に保険適用となりました。
■ 今後、舌下免疫療法とともに、日本でもさらに免疫療法が普及されることが期待されます。
今日のまとめ!
✅ ダニアレルギーによる気管支喘息に対し、ダニ免疫療法のEAACIガイドラインをご紹介した。