生後3日間の粉ミルクの追加は、その後の牛乳アレルギーの発症リスクを上げる?(ABC試験)

『早期離乳食開始』による食物アレルギー予防に関し、卵とピーナッツはかなりはっきりした結果があるが、乳に関してはあきらかとはいえない。

■ 離乳食早期開始による食物アレルギーの予防に関して、卵とピーナッツはかなりはっきりした結果となってきており、『離乳食を遅らせない』という機運が高まっています。

■ 一方で、乳に関してはその方向性はまだ定まっておらず、観察研究により『生後14日~1ヶ月以内に開始したほうがよさそうだ』という結果が得られていました

■ しかし最近、生後3日間に粉ミルクを飲んでいると、むしろ乳アレルギーが増えるのではないかという報告が発表され、話題となっています。

 

管理人注
この研究結果をもって、『生後すぐにミルクを摂取したからミルクアレルギーになったと考えるには、まだ知見の蓄積が必要』と私は考えています。
上記のように矛盾した結果もすでに報告されており、そのままミルクを飲んでいるとミルクアレルギーが少ないという印象は強くあるからです。
ただ一方で、ミルクアレルギーの発症リスクを考える上で、貴重な報告でもあり、おそらく今後、追試が行われてくるだろうと私は考えています。
後半に、すこし整理した考察(私見です)を述べましたのでご参考まで。
※2020/10/22 追記。
この報告に関して、私は否定的な見解を述べているわけではなく、『追試』や『知見の蓄積』が必要と考えています。
本来、この研究を行ったグループの先生は『最初はミルクを飲んだほうが予防に働くのかと想定していたが、逆の結果になった』と話されていました。
ですので、この結果を元に今後出生時の追加のミルクに関してプラクティスを変更するべきかどうかを議論していく必要があるということです。
知見が積み重なることによって、プラクティスが変更される『可能性』はあると思っています。
なお、この後に生後1ヶ月から3ヶ月に粉ミルク10mLを摂取継続すると乳アレルギーが有意に減るというランダム化比較試験『SPADE試験』が発表されています。

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

乳児312人を、母乳栄養に加えた生後3日間のアミノ酸乳(アレルゲン性のないミルク)の負荷群と粉ミルク負荷群にランダム化し、2歳時点の乳への感作リスクを評価したところ、

 ✅ 乳への感作は、母乳±アミノ酸乳群の24名(16.8%)で生じ、母乳+粉ミルク群の46名の乳児(32.2%)より有意に少なかった(相対リスク[relative risk [RR] 0.52; 95%CI 0.34-0.81)。

 

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