以下、論文紹介と解説です。

Suesirisawad S, et al. Dust mite infestation in cooking flour: experimental observations and practical recommendations. Asian Pac J Allergy Immunol 2015; 33:123-8.

6種類の市販の調理用の粉(Gogi、Gold Label、McGarett天ぷら粉、Knorrとうもろこし粉、パン粉、Happy Bahtタピオカデンプン)を、4つの容器(元々のパッケージ、ビニール袋、プラスチックの箱、ガラス瓶)内で増加するかどうかを検討した。

背景

■ 最近タイでは、ダニを経口摂取することでのアナフィラキシーの最初の症例が報告されたが、その原因は調理用小麦粉にある可能性がある。

 

目的

■ 我々の研究は、調理用小麦粉の内容と保存条件がダニの増殖に及ぼす影響を評価し、ダニのアナフィラキシーを予防するための実践的な推奨事項を提供することを目的とした。

 

方法

■ 段階的実験では、6種類の市販の調理用の粉を選択し、ダニを植え付けるか、またはダニを除去した状態にし、研究のために選択した4つの容器(元々のパッケージ、ビニール袋、プラスチックの箱、ガラス瓶)のいずれかに保存した。

■ 得られた実験ユニットは、室温または冷蔵庫(+4℃)で保存された。

■ Der f 1アレルゲン量を測定するために、それぞれの実験ユニットから0.1グラムの小麦粉をサンプリングし、ELISA法で測定した。

■ サンプリングは、植え付けた直後、2 週間後、4週間後、6週間後、8週間後、10週間後、12週間後、16週間後、20週間後に実施した。

 

結果

植え付けたサンプル中の Der f 1 アレルゲン濃度は、植え付け 6 週間後にすべての条件で有意に上昇し(p < 0.001)、8 週間後に最も多い量に達した

室温で放置したサンプルでは、ダニの増殖はより多くなり(p <0.001)、容器の種類による統計的な違いは認められなかった

容器ごとのダニの増殖。元々のパッケージ、ビニール袋、プラスチックの箱、ガラス瓶に有意差なし。

■ Der f 1の量が最も高かったのはGogiRで、次いでゴールドラベル、天ぷら粉、トウモロコシ粉末、小麦粉、タピオカデンプンの順だった(p <0.01)。

管理人注
『Gogi』は、使われた調理用小麦粉のブランド。
Gogi以外のブランド名は、Gold Label、McGarett天ぷら粉、Knorrとうもろこし粉、全粒粉(パン粉)、Happy Bahtタピオカデンプンが使用されました。
それぞれの成分内容。

 

結論

■ この実験の結果からは、常温で小麦を多く含む調理用小麦粉では、特に8週間の保存後にダニがよく増殖した。

■ 我々の結果によると、家庭用調理用小麦粉は冷蔵保存することを推奨され、容器の種類はこの問題に関係なく、20週間を超えて保存してはならない

 

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すくなくとも、開封した『調理用小麦』を室温保存しないほうがよく、8週間でダニの量は最大に達する。

■ これから高温多湿の時期にはいりますし、パンケーキ症候群の季節とも言えます。

■ 小麦粉のみよりも、調理用小麦粉のほうが、やはりダニの増加は多いようです。

■ その内容の組み合わせは、いまひとつはっきりしませんが…少なくとも調理用小麦粉の保存は冷蔵庫にして、はやめに使い切ることをおすすめいたします。

■ また、この研究ではダニを植えていない小麦粉からはダニは検出されていませんが、日本での研究では小売店で販売される調理用小麦粉の176製品((ホットケーキ粉97製品、お好み焼き粉55製品など)中3製品でダニが検出されたそうです(Pediatric allergy and immunology 2004; 15:469-71.)。

■ ダニの量は少なかったのですが、やはり保存状態が悪ければ増加する可能性はあるかもしれません。

 

 

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今日のまとめ!

 ✅ 調理用小麦粉は、冷蔵庫で保管したほうが良さそうだ。

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