以下、論文紹介と解説です。

Macinga DR, et al. Quest for a realistic in vivo test method for antimicrobial hand-rub agents: introduction of a low-volume hand contamination procedure. Appl Environ Microbiol 2011; 77:8588-94.

アルコールによる手指衛生に関し、62%エタノールハンドジェルを中心に、0%、70%、85%のエタノールジェル・4%グルコン酸クロルヘキシジンジェルによる手指の微生物の減少程度を検討した。

アルコールによる手指衛生(alcohol-based hand rubs; ABHR)の評価のために、ABHRの使用条件をより厳密にシミュレーションした手指汚染法を採用した新規の方法を開発した。

■ 被験者の手を Serratia marcescens (ATCC 14756) の濃縮懸濁液 0.2 ml で汚染し、試験開始時の汚染度を 8 ~ 9 log 10 CFU/hand とし、汚染負荷を最小限に抑えながら乾燥した手に製品を塗布した。

■ 62%エタノールを含む1.5mlのABHR用ゲルを評価したところ、1、3、7、10回の連続した汚染/手指衛生を実施サイクル後、log 10 2.66±0.96、2.40±0.50、2.41±0.61、2.33±0.49(平均値±標準偏差)の減少が観られた。

■ この、ASTM E1174における低容量汚染法( low-volume contamination; LVC)を比較した研究では、製品の乾燥時間はより現実的であり、ABHR で達成された log10 の削減量は LVC を使用した場合に有意に大きくなりました(P < 0.05)。

■ これらの結果は、ABHR の使用条件をより厳密に説明した新規の手指汚染手法が、使用した ABHR の有効性をより現実的に推定できることを示していた。

■ LVC法に基づくと、ABHRによるlog 10で評価した減少量は被験物質の塗布量に強く依存して(P < 0.0001)いるものの、アルコール濃度が62~85%の範囲内であれば影響を受けなかった(P = 0.378)

管理人注
この研究では、62%エタノールハンドジェルと、
0%、70%、85%のエタノールジェル、4%グルコン酸クロルヘキシジンジェルが対照として使用されました。

 

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(新型コロナに関しての検討ではないものの)、手指衛生に関してはアルコール濃度が62~85%の範囲では差が有意ではなかった。

■ これをもって60%でもOKとは言えないかもしれませんが、『絶対70%なくては』と、70%に固執しなくてもいいのかもしれません。

■ ただ、60%未満はちょっと効果は疑問でしょうね…

■ さらには、乾くまでの時間も重要で15秒以上は必要だろうと考えられます。

■ 15秒と30秒でのあきらかな差はないという報告がありますが、15秒以下で乾いてしまうようでは、量が不足しているといえそうです。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 手指衛生のアルコール濃度は62%でもある程度期待できそうだ。

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