以下、論文紹介と解説です。
Nakamura M, et al. Infant dietary intake of yogurt and cheese and gastroenteritis at 1 year of age: The Japan Environment and Children’s Study. PloS one 2019; 14:e0223495.
日本における出生コホート研究であるエコチル調査に酸化した82,485人に関し、ヨーグルトの摂取頻度と胃腸炎の発症リスクの関連を検討した。
背景
■ 腸内細菌叢が人間の健康に果たす重要な役割は、近年、世界的に注目されている。
■ ヨーグルトは胃腸炎の発症予防に役立つと考えられているが、この特性は疫学研究ではほとんど調査されていない。
方法
■ 本研究は、エコチル調査(Japan Environment and Children’s Study)で得られたデータを分析した。
■ 103,062妊娠からのデータセットから、82,485人をこの分析の対象とした。
■ 1歳児の発酵食品(ヨーグルトとチーズ)の食事摂取量を、食品頻度アンケートを用いて評価した。
■ 幼児期において親が報告し医師が診断した胃腸炎は、児が1歳時に実施されたアンケートから決定した。
結果
■ 胃腸炎の発生率は、ヨーグルトを週7回以上もしくは週3-6回摂取した乳児の方が、ヨーグルトを週1回未満摂取した乳児よりも胃腸炎の発症率が有意に低かった(粗モデル[82,485人]と共変量の調整後の調整オッズ比 [95%信頼区間] 0.78 [0.70–0.86] / 0.82 [0.76–0.89]; 65,051人)。
論文から引用。ヨーグルトの摂取回数が多い方が胃腸炎の発症リスクが低い。
■ 週1回の頻度のチーズ摂取は、胃腸炎の発生率とは関連しなかった。
結論
■ 1歳時のヨーグルト摂取頻度(チーズではなく)は、胃腸炎のリスクの低下と関連していた。
■ この関連性については、介入研究を含むさらなる研究が必要である。
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観察研究の結果ではあるものの、ヨーグルトを頻回に摂取していると胃腸炎の発症リスクを2割程度下げるという結果だった。
■ あくまで観察研究なので結論を急ぐのは問題があるかもしれませんが、日常生活にヨーグルトを取り入れるのは胃腸炎の予防にいいのかもしれません。
■ チーズがヨーグルトと同様の効果がなかった理由として、チーズには生きた乳酸菌を含むナチュラルチーズと、チーズ製造時の加熱処理により乳酸菌が死んでいるプロセスチーズがあり、その点が問題があったのではないかと考察されていました。
今日のまとめ!
✅ ヨーグルトを頻回に摂取していると胃腸炎の発症リスクを少し下げるのかもしれない。