以下、論文紹介と解説です。
Sugiura S, et al. Development of a prediction model for infants at high risk of food allergy. Asia Pacific Allergy 2021; 11.
生後18ヶ月における食物アレルギーの発症予測因子に関して、2016年4月~2017年3月のアンケートで作成し、2017年4月~2018年3月のアンケート調査で検証した。
背景
■ 乳児における食物アレルギー(food allergy; FA)の危険因子の特定は、活発な研究分野である。
■ 重要な理由は、特定の食物抗原を早期に導入するための最適なターゲットとなる乳児を特定することである。
■ この目的のために湿疹が用いられてきたが、多変量予測スコアは報告されていない。
目的
■ 本研究の目的は、FAのハイリスクである乳児に対し多変量予測スコアを開発することだった。
方法
■ 2016年4月~2017年3月(開発用データセット)と2017年4月~2018年3月(検証用データセット)に小児健診時の生後18か月児の保護者を対象とし自己記入式アンケートによる横断的分析を行った。
■ そして、予測スコアの開発と検証を実施した。
結果
■ アンケート回収率は,開発データセットでは20,198人中18,549人(92%),検証データセットでは19,977人中18,620人(93%)だった。
■ FA の危険因子は、8~12 月生まれ、第1子、湿疹、父親と母親のアトピー性皮膚炎、母親と兄弟姉妹の FA だった。
論文から引用。食物アレルギーを予測する因子と、その重み付け。
■ FAを持つ乳児の鑑別については、開発データセットにおける多変量予測スコアは、検証データセットにおいて、湿疹に着目した場合(AUC 0.70)よりも高い鑑別能力(AUC 0.75)を示した。
論文から引用。湿疹のみと、他のリスクを追加した場合のAUC。
■ また、アナフィラキシーの既往歴のある乳児の鑑別にも有用だった(AUC 0.73)。
論文から引用。スコアと食物アレルギーの予測。
結論
■ 新しい予測スコアにより、特定抗原の早期導入に最適なターゲット群となりうるFAハイリスク乳児をより効率的に特定することが可能になった。
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やはり、湿疹が食物アレルギーの発症の予測因子としてはもっとも大きい。きょうだいの食物アレルギーは考慮してもよさそう。
■ 実際のところ、他の予測因子を組み入れた場合の鑑別能力の差はそれほどではなさそうに思えます。
■ きょうだいの食物アレルギーは、あるていど考えておいてもいいのかもしれません。
今日のまとめ!
✅ 食物アレルギーの発症予測の予測スコアが発表された。