以下、論文紹介と解説です。
Salari F, et al. Comparison of Diagnostic Tests with Oral Food Challenge in a Clinical Trial for Adult Patients with Sesame Anaphylaxis. Iran J Allergy Asthma Immunol 2020; 19:27-34.
ゴマアナフィラキシーの成人患者20人に関し、食物負荷試験陽性を、皮膚プリックテスト(skin prick test; SPT)、皮膚Prick to Prick(skin prick to prick; SPP)、特異的IgE抗体価(sIgE)のどれがもっとも鑑別に有用かを比較した。
背景
■ ゴマアレルギー(Sesame food allergy; SFA)、特にアナフィラキシーは、生命を脅かす疾患である。
■ SFAの正確な診断は、皮膚プリックテスト(skin prick test; SPT)、皮膚Prick to Prick(skin prick to prick; SPP)、特異的IgE抗体価(sIgE)によって行われ、経口食物負荷(oral food challenge; OFC)によって確認される。
目的
■ 成人のゴマアナフィラキシー診断におけるこれらの方法の有用性を評価・比較した研究はほとんどなく、ゴマアナフィラキシー患者の感度と特異性の問題を考慮し、SPT、SPP、ゴマ特異的IgE抗体価(ImmunoCAP)を用いた検査とOFCを比較することを目的とした。
方法
■ ゴマアナフィラキシー患者20人が、OFCに基づいて診断された。
■ その後、SPT、SPP、sIgEを評価した。
結果
■ 16人はOFCが陽性であり、4人は陰性だった。
■ 16人のOFC陽性患者のうち、7人はSPT陽性、15人はSPP陽性、2人はsIgEが検出された。
■ SPT陽性の場合、感度 44%、特異度 50%だった。
■ SPP陽性の場合、感度 87.5%、特異度 75%だった。
■ ImmunoCAPが陽性の場合、感度12.5%、特異度75%だった。
■ SPPのAUCは、ゴマアナフィラキシーの診断に有意だった(p=0.038)。
論文から引用。SPPのAUCはSPTより高い。
論文から引用。抽出液によるSPTよりも、Prick to Prickのほうが有用性が高い。
結論
■ 結論として、OFCが不可能な場合、既往歴が納得できる患者には、SPTに使用される人工的なもしくは市販のゴマの抽出物の代わりに、天然のゴマを用いたSPPが適用できる可能性がある。
■ SPP陽性は、ゴマアナフィラキシー患者の良好な代替診断法である。
■ また、SPTやsIgEの感度の低さは、これらの検査の鑑別能力の低さを示しているのかもしれない。
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ゴマアレルギーの診断には、Prick to Prickテストが最も有用なのかもしれない。
■ ゴマアレルゲンのオレオシン(Ses i 4/Ses i 5)に対する感作は、重篤な全身性反応と関連しており(Allergol Int 2015;64(4):396-8.)、そのゴマ抽出物を調製する際に脂質を除去した結果、親油性のアレルゲンが含まれていないからかもしれないと考察されていました。
■ ゴマに関するアレルギーに関しては、まだわかっていない事柄が多いようです。
今日のまとめ!
✅ ゴマアレルギーの診断には、Prick to Prickテストが最も有用かもしれない。