以下、論文紹介と解説です。

Xepapadaki P, et al. Natural History of IgE-Mediated Fish Allergy in Children. Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2021.[Online ahead of print] PMID: 33866031

魚アレルギーが確認された小児58人(0.5~5歳; 中央値1.3歳)が、その後、自然軽快するかどうかを調査した。

背景

■ 魚アレルギーは、特に、魚の消費量が多い国ではしばしば見受けられて重症化することも多く、食生活やライフスタイルの選択に影響を及ぼすこともある。

■ しかし、その臨床経過や自然経過に関するデータは乏しいのが現状である。

 

目的

■ IgE依存性魚アレルギーの自然経過と、様々な魚種に対する潜在的な反応性の違いを述べ、魚アレルギーが確認された児の予後マーカーを特定する。

 

方法

■ IgE依存性魚アレルギーが確認された小児126人において、病歴、特異的IgE抗体価、各種魚類に対する皮膚プリックテストを記録した。

■ IgEの反応性は免疫ブロット法でも評価した。

■ 参加者は、マグロ、メカジキ、タラに対する食物負荷試験を受けた。

■ 計234回の負荷試験が実施された。

 

結果

■ 58人(9.7±3.9歳)が解析対象となった。

■ 初回反応時の年齢は0.5~5歳(中央値1.3歳)だった。

13人(22%)は、最初に反応が報告されてから1~14年後(平均8.2±4.2歳)にタラを含むすべての魚に耐性となった。

■ 魚の完全な耐性は年齢とともに増加し、就学前の子どもの3.4%から思春期の児の45%以上に達した(95%信頼区間 26.3%~79.7%)。

■ 大多数の児はメカジキ(94%)とマグロ(95%)に耐性となった。

負荷試験前のタラに対する特異的IgE抗体価が4.87 kUA/L以上であることが、魚アレルギーが持続する最も良い陽性予測マーカーであり(94%)、次いでイワシに対する皮膚プリックテスト6.5 mm以上(92%)だった。

 

結論

■ 魚アレルギーの児のかなりの部分が、思春期頃に耐性を獲得する。

■ 魚アレルギーの児の多くはマグロやメカジキを摂取可能なので、バランスのとれた食生活を送るための安全な代替品となる。

 

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魚アレルギーは一部が耐性となるようだが、思春期まで続く可能性は十分あり、しかも一部の魚の摂取に限られるようだ。

■ 魚アレルギーの自然経過に関する報告は珍しく、貴重な報告と言えそうです。

■ 本文が読めなかったので、22%の耐性と45%の耐性に矛盾があるように思えるのですが…少なくとも一部の児が自然軽快するといえそうです。

 

■ とはいえ、メカジキとマグロには耐性でも、タラに対しては耐性ではない可能性も十分あり、もともとの感作が強ければほぼ耐性にはならないとも読めます。

■ 本文が読めるようになったら、再度確認しておこうと思っています。

 

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今日のまとめ!

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