以下、論文紹介と解説です。
Alvarez-Cuesta E, Berges-Gimeno P, González-Mancebo E, Fernández-Caldas E, Cuesta-Herranz J, Casanovas M. Sublingual immunotherapy with a standardized cat dander extract: evaluation of efficacy in a double blind placebo controlled study. Allergy 2007; 62:810-7.
鼻結膜炎の猫ネコレルギー患者50人を対象に、半精製ネコふけ抽出物による舌下免疫療法群、プラセボ群にランダム化し、1年間の効果を確認した。
背景
■ 哺乳類上皮由来の抽出物を用いた舌下免疫療法（sublingual immunotherapy; SLIT）の臨床効果については、ほとんど情報がない。
目的
■ 自然暴露チャレンジテスト（natural exposure challenge test; NCT）に基づく猫SLITの臨床的有効性を評価する。
材料と方法
■ 喘息を伴う、または伴わない鼻結膜炎の猫アレルギー患者50人を対象とし、猫SLITのランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を1年間実施した。
■ 25人の患者が実薬治療を受け、25人がプラセボを受けた。
この液体を、毎日舌下に2分間おきつづけました。
■ 舌下免疫療法の効果は、猫のいる部屋での猫への自然暴露チャレンジと皮膚テストによって評価された。
■ 空気中のFel d 1レベル、症状スコア、ピークフロ（PEF）値がモニターされた。
結果
■ 50人の患者のうち33人（66％）が介入を完了した。
■ 最大濃度のFel d 1含有量は0.51μg/mlだった。
■ 増量期間中の累積投与量は1.7mug of Fel d 1であり、試験期間全体では17.1mugだった。
■ 有害事象の報告はなかった。
■ NCT期間中、実薬群では症状の顕著な減少（62％）が認められ（P < 0.001）、プラセボ群では変化がなかった。
■ また、実薬群では、猫との接触によるPEF反応の低下（P < 0.05）、標準化猫エキスに対する皮膚テスト反応性の改善（P < 0.05）が認められたが、プラセボ群では有意な変化は認められなかった。
■ NCT期間中の平均Fel d 1曝露量は6.2 +/- 2.21 ng/m(3)だった。
結論
■ 本研究で使用した猫用SLITは、自然暴露チャレンジに基づく猫アレルギーを改善することができることが示唆された。
今後、ペットに対する免疫療法の検討がすすみ、実用化されることが望まれる。
■ 猫に対する舌下免疫療法の有効性を示した報告はすくなく、多くが皮下免疫療法のようです（Virtanen T. Immunotherapy for pet allergies. Human Vaccines & Immunotherapeutics 2018; 14:807-14.）。
■ その中で、ほぼ唯一の舌下免疫療法の報告がこの2007年の研究になります。
■ 現在は、組換えアレルゲン、新規アジュバント、リンパ節投与などのルートを想定して研究されているようです。
■ ペットアレルギーは、なかなか良い治療がない状況ですので、スギ花粉・ダニに対する舌下免疫療法が普及しているなか、できればこの分野の治療も進んでくればいいなと思います。
■ とはいえ…そのためにはスギ花粉やダニに対する舌下免疫療法がさらにひろく普及していくことが必要になるのではないかなとも思います。
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