【全訳】呼気一酸化窒素(FENO)を喘息診療にどう生かすか?(第2回/全2回)

Spahn JD, et al. Current application of exhaled nitric oxide in clinical practice. Journal of Allergy and Clinical Immunology 2016; 138:1296-8.

 喘息管理に役立つ、呼気一酸化窒素の総論の2回目。

■ 昨日は、第1回として呼気一酸化窒素(FENO)の喘息への適応と結果の解釈に関する注意点をUPしました。

■ 本日はFENOの臨床応用に関して、このJACIのレビューの続きをご紹介したいと思います。

 

 

 呼気一酸化窒素(FENO)の臨床的応用。

呼気一酸化窒素(FENO)と好酸球

FENOと痰好酸球数は相関している(r = 0.26-0.6)ため、FENOは好酸球性炎症を測定すると考えられる。

■ しかし、好酸球性(IL-5による)もしくはアレルギー性(IL-4とIL-13による)炎症であるのかを目標とする薬剤が発達したため、FENOはアレルギー性炎症のマーカーと考え、好酸球増加は好酸球性炎症のマーカーと考えられなければならない

■ 小児喘息のコホート研究における喀痰好酸球数をFENOと比較したところ、両者ともアトピー、血中好酸球数、β-刺激剤に対する可逆性、気管支過敏性(BHR)と相関していた。

 

* 管理人注; 好酸球とFENOに関する総論は、すでにご紹介いたしました。

 

■ 喀痰採取は63%しか二回の処置を行うことができなかったため、FENO測定は喀痰採取より好ましかった。また、喀痰排出中に気管支けいれんが8%で生じ、相当な時間と専門知識を必要としたが、FENOは容易かつ迅速に正確に計ることができた(J Allergy Clin Immunol. 2004; 114: 578–582)。

 

喘息診断補助としてのFENO

■ FENOは喘息の診断を補助する。プライマリケアでは、ほとんどの患者が臨床的に喘息の診断を受け、標準的な診断のための試験(メタコリン反応性やβ-刺激剤の反応性)はめったに使用されない。

■ 専門家は、喘息の診断にβ刺激剤への反応性を日常的に測定するが、喘息児ではそれほど感度は高くない

FENOは、小児と成人の両方において、感度0.79〜0.86、特異度が0.85〜0.89であり、喘息の診断に非常に感度/特異度が高い。また、使用も簡便であるため、FENOは専門診療とプライマリケアの両方で喘息の診断に役立つ。

 

* 管理人注;以前、このような結果に関してご紹介いたしました。

 

■ FENOは、FEV1・アルブテロールの必要性・症状には相関しないが、気道過敏性・β刺激剤への反応性・FEV1/努力性肺活量比の低下・努力呼気流量と相関する。

■ FENO値は、まだコントローラー療法を受けていない小児におけるC-ACTと相関する。

■ 治療後、良好な症状コントロールが達成されたが、多くの小児がFENOを上昇させたことから、症状および炎症が喘息の特徴であることが示唆される。

■ 喘息患者のうち最大45%が吸入ステロイド(ICS)治療の効果が得られないため、FENOはICS治療のレスポンダーを予測するのを補助する。

 

吸入ステロイド薬の反応性の判断とFENO

■ また、小児および成人に対する複数の研究は、FENO上昇がICSに対する良好な反応性を予測することを証明している

■ 試験開始時のFENOはICS治療の反応性予測に対し、試験開始時のFEV1、β刺激剤反応性、BHRより優れている。

 

喘息の再燃予測とFENO

■ 複数の研究は、試験開始時のFENOまたはICS減量時のFENO上昇が、喘息再発を予測することを示している。

■ 主要な目標として、特に喘息の維持管理に必要な最も少ないICS投与量、特に副作用の可能性がある小児での使用があるため、重要な応用と考えられる。

■ 肺機能低下およびFENO上昇は、喘息増悪のリスクとは独立して相関する。

■ 試験開始時にに最も高い四分位数(≧72 ppb)と最低の四分位数(15 ppb)のFENOは、頻繁なアルブテロール(アルブテロール> 7缶の使用;相対リスク2.4)を必要とし、喘息の悪化(相対リスク 1.5)だった(J Allergy Clin Immunol. 2011; 128: 412–414)。

 

* 管理人注;喀痰中好酸球数とFENOが喘息の悪化を予想することも、以前ご紹介いたしました。

 

■ iNOSが経口ステロイドによって抑制されるため、重症喘息の管理においてはFENOが有用でないという懸念が当初あったが、重症ステロイド依存性喘息患者の50%がFENOが上昇したという結果が得られたため、正しくはない。

■ FENOは、より反応性が高い、もしくはリスクの大きいフェノタイプである喘息患者を特定することができる。

■ FENOが高い患者は、FENOの低い患者と比較して、BHRが高く、循環中および喀痰中好酸球数が高く、アトピー性疾患であり、エアトラッピングがあり、過去に集中治療室入院があった可能性が高い。

 

生物学的製剤とFENO

■ 抗IL-5抗体であるメポリズマブは、重症好酸球性喘息患者の増悪を少なくする。

■ FENO上昇(> 50 PPB)がエントリー基準であったにもかかわらず、メポリズマブは、好酸球数を劇的に減らしながらも、FENOには影響なかった(Lancet. 2012; 380: 651–659)。

 

管理人注;メポリズマブ(ヌーカラ)に関しては、以前、メタアナリシスをご紹介いたしました。

 

■ Lebrikizumab(抗IL-13抗体)は、ペリオスチンまたはFENO高値である患者における肺機能を改善させ、両者とも、lebrikizumab治療後に減少した。

■ 抗IL-4 / IL-13受容体抗体であるデュピルマブで治療された好酸球性喘息患者は、増悪が少なく、肺機能も改善し、症状が少なくなった。

■ FENOはベースライン時に増加し、治療中に有意に減少したが、dupilumabは循環血液好酸球数に影響を与えなかった。

■ また、FENO高値の患者に対するomalizumab治療患者はFENO低値の患者より2倍大きな増悪減少だった、それでも、FENOはomalizumabによって影響を受けなかった

 

FENOのまとめ

■ 喘息は不均一な疾患であり一つの測定値をもって気管支喘息を評価・管理・治療するために使用されることが難しい。

■ FENOも例外でない。FENO測定は、非アトピー性喘息患者における役立つツールでなく、幼児では容易に行われることができない。

■ 最後に、喘息管理のガイドラインアプローチよりも、FENOモニタリングが優れた喘息の転帰をもたらすかどうかは論争が続いている。FENOは、喘息の管理において重要なツールとなり得る。喘息ガイドラインでは、喘息患者の大半であるプラ​​イマリケアの環境に、より容易に適用できるように定義する必要がある。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅FENOと痰好酸球数は相関しているが、FENOはアレルギー性炎症のマーカーと考え、好酸球増加は好酸球性炎症のマーカーと考えられなければならない。

 ✅FENOは、小児と成人の両方において、感度0.79〜0.86、特異度が0.85〜0.89であり、喘息の診断に非常に感度/特異度が高い。

 ✅吸入ステロイド薬(ICS)開始前のFENOは、ICSの治療反応性予測に優れている。

 ✅ICS開始前のFENOまたはICS減量時のFENO上昇が、喘息再発を予測する。

 ✅生物学的製剤に関して、FENOはそれぞれ異なる反応をする。

 

 

 FENOと好酸球、そして好酸球性/非好酸球性の喘息。

■ FENOに関して、現在わかっていることがきれいにまとまっている、優れたレビューであったと思います。

■ 呼気一酸化窒素は研究目的で昔トライしたことがあり、実は自分の名前が「呼気NO測定ハンドブック」に載ってたりします、、。なかなか当院では購入していただけなくて、相当出遅れた感はありますが、、

■ それはさておき、今後、FENOや好酸球数に関して臨床応用が進んでくると思われます。例えば、最近読んだ研究結果として、以下のようなものがありました。

■ 血中好酸球数増加は、重症喘息の増悪や救急外来受診のリスクを予測する(Zeiger RS,  et al. Blood eosinophil count and outcomes in severe uncontrolled asthma: a prospective study. The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 2017; 5:144-53. e8.)。

■ 好酸球性炎症は、喘息の悪化に関与する(Schleich FN,  et al. Importance of concomitant local and systemic eosinophilia in uncontrolled asthma. Eur Respir J 2014; 44:97-108.)。

■ 気道の微生物と好酸球性喘息&好中球性喘息の関連するか?(Sverrild A, et al. Eosinophilic airway inflammation in asthmatic patients is associated with an altered airway microbiome. J Allergy Clin Immunol 2017; 140:407-17.)。

■ 喘息に対するバイオマーカーは?(Berry A, Busse WW. Biomarkers in asthmatic patients: Has their time come to direct treatment? Journal of Allergy and Clinical Immunology 2016; 137:1317-24.)。

■ これらに関しては、近日中にご紹介したいと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅FENOの簡潔的な最新のレビューが発表されていた。今後、FENOは好酸球数などと合わせ、今後臨床研究・臨床応用が発展すると思われる。