本邦からの卵経口免疫療法ランダム化比較試験の結果は?

Akashi M, et al. Randomized controlled trial of oral immunotherapy for egg allergy in Japanese patients. Pediatr Int 2016.[Epub ahead of print]

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■ いわゆる経口免疫療法は、現在の食物アレルギーの治療・予防のトレンドになっています。

■ この治療は、とても有望な治療法ではありますが、決して簡単ではありませんし、 危険も伴います。

■ そして、質の高い研究も、決して簡単ではありません。

■ そんな中、本邦から、ランダム化比較試験(質の最も高い研究手法)に関する結果が発表されましたのでご紹介いたします。

PECO
P:2005年6月から2008年3月における国立成育医療研究センター(当時国立成育医療センター)に受診した、卵に対する二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(double-blind, placebo-controlled food challenge;DBPCFC)で陽性であった3-15歳の児 36人(男児25人、女児11人; 平均年齢5.8歳)。
E:卵乾燥粉末摂取(OIT)群 6か月間
C:除去継続(EE)群 6か月間
O:6か月後に1/4個相当の生卵白粉末の食物経口負荷試験(OFC)をクリアするか

 

結局、何を知りたい?

 ✅卵経口免疫療法(少しずつ卵を摂取していく治療)が、本邦でも効果があるかどうかを知ろうとしている。

 

結果

■ 研究対象患者は、卵完全除去中で卵白特異的IgE抗体価≧0.7 UA/mL(CAP)だった。
■ DBPCFCは、4g/1パックの乾燥卵粉末(生卵約1/4相当;タンパク質含有量1.7g)を用い、乾燥卵粉末5段階で負荷が行われた(0.2、0.4、0.8、1.6、1.0gを15分間隔)。
■ OIT群は、卵乾燥粉末0.1mgで開始され、3-4日の間隔で0.2、0.3、0.6、1、1.5、2、3、4、6、10、15、30、50、70、100、150、200、300、500、700mg、1、1.2、1.5、2、3、4gと増量された。
■ OIT群の18例のうちの17例は、OIT中になんらかのアレルギー症状を呈した(嘔吐4人、下痢5人、じんましん/血管浮腫6人、呼吸器症状3人、口腔症状8人、腹痛6人)。アドレナリンを使用した参加者はいなかった。
■ 3人がOITから脱落した(喘息症状1人、乾燥粉末を摂取できない1人、アナフィラキシー1人)。
■ 2回目のOFC時、OIT群14例のうち8例(57%)は乾燥卵粉末粉4gにアレルギー反応を呈しなかったが、EE群16例は全員反応した
■ OIT群14例は全員、ベースラインと比較して2回目のOFC時の卵白摂取量閾値が増加したが、卵白特異的IgEの有意な変化は認めなかった
■ 治療後、卵白特異的IgG4抗体価がOIT群では有意に増加したがEE群においては有意な変化を認めなかった

結局、何がわかった?

 ✅3歳以上の卵アレルギー児に対し、卵を微量から開始し増量する治療法(経口免疫療法)を実施し、6か月間で6割弱の参加者が1/4個の生卵を摂取できるようになったが、完全除去群は1人も摂取できるようにならなかった。

 

コメント

■ この研究が開始となった2005年当時は、経口免疫療法はまだ黎明期であり、また、小児に対するランダム化比較試験は簡単ではありませんでした。きっと多くの困難があったと思います。

■ 一方、2017年現在、このような”少しずつ食べていく”方法は、ガイドラインで積極的な推奨はされていないものの広がりを見せています。

■ そして、最近は、経口免疫療法の研究は長足の進歩を遂げようとしています。

■ 例えば、食物経口免疫療法は、例えば加水分解した卵に対する免疫療法や、、、

■ オマリズマブ(商品名ゾレア)を利用した副反応軽減を目指した研究などが報告されるようになってきています。

■ しかし、一方で牛乳はなかなか経口免疫療法が難しく、baked milk(焼き固めた牛乳)を使用しても、重篤な患者さんの治療はあまり芳しくないようですし、ゾレアを併用してある程度副反応を軽減しても、ゾレアを中断後は再燃してしまうようです。

■ また、摂取できるようになったとしても、中断すると再燃することも分かってきています。長期間継続すると安定はしてくる方の割合は増えるようですが、4年間継続しても中断すると半数は再燃するようです。

■ リスク管理や実際の方法も含め、まだまだ難しい問題が山積しているといえましょう。

今日のまとめ!

 ✅卵経口免疫療法は、本邦の児に対しても効果的である。

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