血清TARCは、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するのに適切か?

Landheer J, et al. Utility of serum thymus and activation-regulated chemokine as a biomarker for monitoring of atopic dermatitis severity. J Am Acad Dermatol 2014; 71:1160-6.

TARCが注目されてきています。

■ 血清TARCはアトピー性皮膚炎の病勢を示す指標として、本邦では保険適応となっています。

■ これまでも、TARCに関する研究結果をご紹介してきました。

■ 今回はJAADからの報告で、TARCと成人アトピー性皮膚炎の重症度を比較した研究結果をご紹介いたします。

 

PECO
P:アトピー性皮膚炎(AD)のために受診した成人患者(34.8歳[SD 15.2]歳、男性40.3%) 320例
E:アトピー性皮膚炎の重症度スコア(Six Area, Six Sign AD [SASSAD])と血清TARC
C:健常対照者
O:AD重症度を評価するためのバイオマーカーとして血清TARCは有用か

 

結局、何を知りたい?

 ✅血清TARCとアトピー性皮膚炎重症度を比較し、有用性があるかどうかを確認しようとしている。

 

 

成人のアトピー性皮膚炎の重症度とTARCを比較。

■ (1) ベースライン前の3ヵ月間に全身性免疫抑制薬(全身性コルチコステロイド以外)の処方を受けた、(2)ベースライン2週間前に全身性コルチコステロイドの投与を受けた場合は除外された。
■ 短期的な追跡調査が1~6週後に、長期の追跡調査として7~36週後に行われた。

■ 健常対照におけるレファレンス・レンジは、71~848pg/mLであった。

■ 短期的なフォローアップの中央値3.5週(iqr 2.8-4.1)、長期フォローアップの中央値は14.6週(iqr 9.6-23.0)だった。

■ ベースラインの血清TARCは、1733pg/mL(iqr 696-4742; range 3-50400pg/mL)だった。

■ 患者の9%(320人中29人)は、血清TARC 10000 pg/mL以上だったが、30%(320人中99人)は、健常対照以下である848 pg/mLだった。

血清TARC(対数変換)とSASSAD、血清TARC(対数変換)とBSAのスピアマン相関係数は、それぞれr = 0.48とr = 0.65だった。
血清TARCの中央値は、SASSADの軽症・中等症・重症群で有意差があった。

■ 164例(51.3%)において、血清TARCとSASSADカテゴリーは、一致したが、146例(45.6%)は一致せず、1段階重症度が異なり、10例(3.1%)は、2段階異なった。

■ 短期的な追跡調査では、ベースラインと比較して血清TARCとSASSADの中央値はそれぞれ79%と76%が低下し、長期の追跡調査では80%、73%が減少した。

■ 血清TARCとSASSADは、短期追跡調査で60人2人( 3%)、長期追跡調査で60人中2人(3%)は症状の変化と一致しなかった。

■ また、血清TARCとSASSADもしくは病変部の体表面積は中等度に相関し、追跡調査中、患者の大部分は、血清TARCとSASSADは病変の体表面積と一致して変動した。

 

結局、何がわかった?

✅成人アトピー性皮膚炎に関し、血清TARCは、重症度(SASSAD)や病変の対表面積と相関する(それぞれr=0.48、r=0.65)。しかし、30%は健常対照者のレンジにはいっていた。

✅治療による病勢とも相関するが、重症度とTARCの範囲は必ずしも一致しなかった。

 

 

TARCはアトピー性皮膚炎の重症度と相関するが、限界もある。

血清TARCとSASSAD(アトピー性皮膚炎の重症度評価)には中等度の一致があり、ADフェノタイプの違いを表す可能性があるとまとめられます。

■ 以前ご紹介したバイオマーカーの総論でも、血清TARCは、それらバイオマーカーの中でも有用性の報告が特に多いようです。

■ とはいえ、精度に関しては単独では確定までは至らないことが今回の報告でもなされた通りで、TARCが高いから重症とか、低いから軽症もしくはアトピー性皮膚炎ではない、と確定診断するような指標ではないと言えるでしょう。

■ 一方で、TARCのみではなく、他のバイオマーカーを組み合わせると精度があがるという報告もあり、TARCのみで考えないほうがいいのかもしれません。また、他の有望なバイオマーカーも報告され始めています。

■ しかし、多くのバイオマーカーでいえることですが、身体所見や病歴も大事といえるのは確かです。

■ CRPが高いから細菌感染とはいえないことは皆さん承知していますので、私は、若い先生に説明するときには、TARCが高くてもアトピー性皮膚炎が重症とかアトピー性皮膚炎の確定診断ではなく、病歴や身体所見も重要であることを話しています。もちろん、CRPが感染症診療に有用であるように、TARCも有用であることには変わりありません

 

 

今日のまとめ!

 ✅成人のアトピー性皮膚炎の重症度と血清TARCは相関し、治療後の重症度の評価にも使用できる。ただし、精度には限界がある。