アトピー性皮膚炎があると、とびひになる可能性が1.8倍になる

Hayashida S, et al. Are lifetime prevalence of impetigo, molluscum and herpes infection really increased in children having atopic dermatitis? Journal of dermatological science 2010; 60:173-8.

アトピー性皮膚炎は、皮膚感染症のリスクが高くなる。

うさみん
ねえ、ほむほむ。
アトピー性皮膚炎があると、皮膚感染症がふえるのは確かなの?

ほむほむ
ああ、そういえばブログではあまり具体的な報告を紹介してこなかったね。
たとえば、皮膚における天然の抗生物質のようなものといえる抗菌ペプチドが減少したりして感染が増えるんだ。
じゃあ、僕が外来でよくつかう、本邦でおこなわれた横断研究を紹介しておこうかな。

 

 

 

沖縄県石垣市の保育園に通う0歳〜6歳の小児1117名に関し、アトピー性皮膚炎と皮膚感染症のリスクを評価した。

背景

伝染性膿痂疹(impetigo contagiosum; IC)伝染性軟属腫(molluscum contagiosum; MC)ヘルペスウイルス感染(herpes virus infection;HI)などの皮膚感染は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis ;AD)と関連しているようにみえる。
しかし、具体的な疫学的エビデンスは報告されていない。

 

目的

■ 我々は、集団ベースの横断研究を実施することによって、小児期ADとこれらの感染との関連性を評価した。

 

方法

■ 本研究では、沖縄県石垣市の保育園に通う0歳〜6歳の小児1117名を対象とした。

■ 身体検査は皮膚科医によって実施された。

■ AD、喘息、アレルギー性鼻炎、卵アレルギーなどのアレルギー疾患、IC、MC、HIなどの皮膚感染の家族歴、ADの家族歴などについて、アンケート調査を実施した。

 

結果

913人(アトピー性皮膚炎 132人)において、IC、MC、HIの病歴は、それぞれ45.1%、19.7%、2.5%で観察された。

■ 多項ロジスティック回帰分析により、ICの既往がある確率は、ADのない児よりもADのある児では1.8倍高かった

■ 一方、MCの病歴は男児で有意に相関していたが、ADの病歴には相関しなかった。

■ HIに関しては、本研究では相関は見出されなかった。

 

結論

■ ICの生涯の有症率は、ADの病歴をある児では確かに高かった。

 

結局、何がわかった?

 ✅アトピー性皮膚炎の病歴がある0~6歳の児に伝染性膿痂疹の既往は、アトピー性皮膚炎の既往がない児よりも1.8倍高かった。

 

 

アトピー性皮膚炎の重症度があがるほど、合併症のリスクがあがる。

■ アトピー性皮膚炎が重篤になると抗菌ペプチドがへり、感染のリスクになることを最近紹介しました。

■ また、アトピー性皮膚炎が重篤になると、皮膚感染症以外のリスクもあがることがわかってきています。

 

 

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今日のまとめ!

 ✅アトピー性皮膚炎があると、膿痂疹のリスクが1.8倍になる。

 

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