
Martin-Muñoz MF, et al. Egg Oral Immunotherapy in Children (SEICAP I). Daily or Weekly Desensitization Pattern. Pediatric Allergy and Immunology 2018. [Epub ahead of print]
一般的に、食物経口免疫療法は週1回の増量で行います。


すくなくとも、その治療に精通した医師がする治療だからね。
そのうえで、一般的には週1回増量するのが普通だよ。


毎日増量となると説明がむずかしくなってしまう点もあるかなあ。
でも、週1回増やすより、毎日少しずつ増やすというのは、確かに良い方法かもしれない。
そのテーマの報告が最近発表されたのでみてみよう。
卵経口免疫療法において、摂取しない群、毎日増量群、毎週増量群の3群にランダム化して1年間の治療結果を検討した。
背景
■ 臨床に卵 による経口免疫療法(oral‐immunotherapy;OIT)を組み込む前に研究が必要とされている。
■ スペイン小児アレルギー ・喘息臨床免疫学会(SEICAP)は、卵アレルギー児に対する低温殺菌卵白(pasteurized‐egg‐white;PEW)を使用してOITの有効性および安全性を評価する多施設ランダム化対照比較試験を実施した。
方法
■ 100人の卵アレルギー児(6~9歳)を、卵を含まない食物群(egg‐free‐diet; CG)25人と経口免疫療法群(OIT)76人(目標用量3.3gの低温殺菌卵白[PEW]タンパク質)のうち、PI群(毎日5%ずつ、週30%増量)、PII群(週30%増量群)1年間にランダム化した。
■ 卵の皮膚プリックテスト、特異的IgE抗体価、特異的IgG4抗体価、PEWにおける二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(double‐blind placebo‐controlled‐food‐challenge;DBPCFC)、有害事象反応(adverse‐dosing‐reactions ;DAR)を、すべての患者において開始時(T0)から1年後の完了時点(T12)まで評価した。
■ T12において、卵アレルギー児の対照群はOITを開始することができた。
■ OITの有効性と安全性と増量パターンの効果を分析した。
結果
■ T12において、卵を含まない食物群(CG)の25人中4人(16.0%)が、PEWによる二重盲検プラセボ対照食物負荷試験(DBPCFC)が脱感作に達し、経口免疫療法群(OIT)群の76人中64人(84.2%)が脱感作に達した(p = .000)。
■ 対照群のうち12人がOITを開始した。
■ 最終的に、88人中72人(81.81%)が脱感作に達し、PI群は96.15% vs PII群 75.80%が脱感作に達した(p = .01)。
■ 増量期(121.12±91.43、中央値98.00日)は、PII増量パターン群、アレルギー性喘息、副反応の閾値用量、卵特異的IgE抗体価高値の患者でより長くなった(p <.05)。
■ ほとんどの患者(89.06%)が有害事象反応(DAR)を発症した。
■ 軽症74.53%;中等症 21.90%で、アドレナリンを必要としたのは3.5%だった。
■ 中等度の反応およびアドレナリンを必要とする反応は、アレルギー性喘息、PIIパターンまたは卵血清抗体価高値においてより頻繁であった(p <.05)。
結論
■ PEWによるOITは、持続性の卵アレルギー児にとって効果的な治療法である。
■ 毎日5%し毎週30%増量する増量パターンは、毎週30%の増量パターンよりも効果的で安全である。
結局、何がわかった?
✅卵を含まない食物群 25人と経口免疫療法群 76人(PI群 [毎日5%ずつ、週30%増量]、PII群 [週30%増量群] )にランダム化し、最終的に88人中72人(81.81%)が脱感作に達し、PI群は96.15% vs PII群 75.80%が脱感作に達し、脱感作への達成率に有意差があった(p = .01)。
週1回増量より、毎日増量のほうが、経口免疫療法の脱感作の達成率が高かった。
■ 現実的には、「毎日増量」に関して指示をするのは相当難しそうですので、普及させるのは難しいかもしれませんが、「増量がむずかしいリスクが高いお子さん」に関しては毎日増量を指示してもいいかもしれません。
■ また、あくまで「脱感作」ですので、中止すると食べられなくなる可能性はあります。
■ でも、週30%の増量はすこし急ぎ過ぎのような気が、、
今日のまとめ!
✅食物経口免疫療法において、週1回増量より、毎日増量のほうが脱感作の達成率が高かった。