以下、論文紹介と解説です。

Ravnborg N, et al. Prevalence of asthma in patients with atopic dermatitis: a systematic review and meta-analysis. J Am Acad Dermatol 2020.[Epub ahead of print]

アトピー性皮膚炎患者の喘息有病率もしくはアトピー性皮膚炎と喘息との関連に関するデータを有する213研究を検討し、アトピー性皮膚炎患者の喘息有病率を検討した。

背景

■ 喘息がアトピー性皮膚炎( atopic dermatitis; AD)患者においてよくみられることはよく知られている。

 

目的

■ そこで、AD患者における喘息・呼吸器症状の有病率、ADと喘息との関連を明らかにするために、システマティックレビューおよびメタ分析を実施した。

 

方法

■ AD患者の喘息有病率もしくはADと喘息との関連に関するデータを有するすべての英語による研究について、医学データベースであるPubMed、EMBASE、LILACS、SCOPUSを、少なくとも2人の研究者が独立して検索した。

■ 95%信頼区間(confidence intervals; CI)の統合オッズ比(odds ratios ;OR)と統合した率を、ランダム効果モデルを用いて推定した。

■ さらに、Newcastle‐Ottawaスケールを用いて研究の質を評価した。

 

結果

■ 検索により39,503件の報告が検出され、213研究を定量分析に含めた。

■ 喘息のプールされた全有病率はAD患者において25.7%(95% CI 23.7~27.7)、対照群で8.1%(95%信頼区間7.0~9.4)だった

■ 対照者と比較した場合、ADと喘息に有意な関連があった(OR 3.03; 95% CI 2.64~3.47)

 

制限

■ ADと喘息の定義は、含まれた研究間で異なり、自身による報告から医師による診断まで様々だった。

 

結論

■ 喘息はADにおける一般的な併存疾患であり、医師はこの関係を認識し、患者の喘息症状に対処すべきである。

 

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アトピー性皮膚炎は、気管支喘息の発症リスクになる。

■ アトピー性皮膚炎は、その後の気管支喘息の発症リスクとなるという報告は多く、そのことを確認したメタアナリシスといえます。

■ アトピー性皮膚炎が長期になるほど、重症になるほど、『経皮感作』によりその後の感作(IgEができること)とアレルギー疾患の発症リスクがあがるといえます。

■ はやめに、十分な治療が望まれると言えましょう。

■ メタアナリシスとして使用しやすい結果でもあり、今後、同じテーマの記事に書く場合には引用が増えそうな報告でした。

 

 

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今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎患者は、喘息に罹患している可能性が約3倍になる。

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