以下、論文紹介と解説です。

Chao HC, et al. The impact of constipation on growth in children. Pediatr Res 2008; 64:308-11.

便秘症の小児(1歳~15歳)2426人において、便秘の治療効果が有効な群と不十分な例の12週・24週後の成長を比較した。

背景/目的

■ 健常な小児においての便秘が、栄養状態や成長状態へ影響するかを観察した報告はない。

■ そこで、4年間における便秘が小児の成長に及ぼす影響を評価した。

 

方法

■ 登録されたのは、1歳から15歳までの便秘症の小児だった。

■ 便秘の治療に対する医学的反応を、便秘症状のスコアリングにより評価した。

■ 便秘の治療効果と12週目と24週目の成長との相関を統計学的に評価した。

 

結果

■ 平均年齢7.31±3.65歳(範囲1.1~14.9歳)の2426人(男児1284人、女児1142人)が登録された。

12週間の治療後,医学的反応が良好な例(1377人)では,医学的反応が不良な例(1049人)に比べ、身長-年齢、体重-年齢、BMI-年齢のzスコアがいずれも有意に増加していた

論文から引用。便秘に対する治療効果がよい群の方が、身長・体重の増加がよい。

■ また、医学的反応の悪かった1049例は高度な治療を受けており、年齢別身長、年齢別体重、年齢別肥満度指数のzスコアの有意な上昇が認められた。

■ 食欲の著しい増加は、治療後の身長・体重の増加と有意に相関した。

 

結論

■ 慢性便秘は小児の成長を遅らせる可能性があり、小児の便秘に対する長期的な薬物療法は小児の成長状態に有益であると結論された。

 

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便秘は、(おそらく食欲の改善により)成長を阻害するようだ。

■ 12週間という期間でも、体重や身長の増加に有意な差があるとは、ちょっと驚きです。

■ 便秘は、短期間の治療ではなく、きちんとコントロールを目指したほうがよさそうですね。

■ 便秘の確認には、『便の形』を見ることが有用です。

■ また、最近は『モビコール』が使用できるようになり、すこし治療がしやすくなりました。

 

今日のまとめ!

 ✅ 便秘症は、小児の成長を阻害するかもしれない。

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