以下、論文紹介と解説です。

Custovic A, Hallam CL, Simpson BM, Craven M, Simpson A, Woodcock A. Decreased prevalence of sensitization to cats with high exposure to cat allergen. J Allergy Clin Immunol 2001; 108:537-9.

成人2502名を対象に、皮膚プリックテスト、家庭で採取したハウスダストサンプル中のネコアレルゲン量(Fel d 1)の関連性を調査した。

■ 猫アレルゲンへの現在の暴露と猫に対する感作の関係を調査した。

■ 成人2502名(平均年齢31.8歳、年齢幅18~58歳、女性1251名)を対象に、アンケートの実施、皮膚プリックテスト、家庭を訪問して採取したハウスダストサンプル(Fel d 1; ELISA)が行われた。

■ 猫への感作に関連するFel d 1は、猫アレルゲン暴露の10進法(カットポイント[microg/g]: 0.05、0.34、0.48、0.72、1.13、1.92、7.2、44、151)において分析された。

■ 猫に対する感作の有病率は、最低暴露群と最高暴露群で有意に減少していた。

■ 多変量回帰分析(年齢、性別、社会経済状態、現在の喫煙を調整)では、猫に対する感作のリスクは、Fel d 1への曝露が中程度であると有意に増加した(3rd centile, OR 2.3, 95% CI 1.2-4.4, P =.01; 4th centile, OR 2.1, 95% CI 1.1-4.0, P =.03; 5th centile, OR 2.2, 95% CI 1.2-4.3, P =.04, 6th centile, OR 2.5, 95% CI 1.3-4.9, P =.005).

論文から引用。
図A, 猫アレルゲン暴露群ごとにおける猫への感作率。
図B, 異なる猫アレルゲン暴露群間でダニ、イヌ、雑草に感作された被験者の割合に有意差は見られなかった。

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■ これらの結果は、猫に対する感作の有病率は、猫アレルゲン暴露の最低群および最高群で減少していることを示している。

ペットアレルゲンに対する『ベル型』の反応は、よく論じられるが…

■ このベル型の反応に関しては、総論でもときどきでてくる内容ですが、かといってむちゃくちゃ多いアレルゲン量にすればいいかというと…そういうわけではないと考えています。

■ アレルゲン量が多くなると、たしかに防御能もあがるのですが、喘息発作をへらすほどにはならないといった報告もあり、結局、リスクのほうが大きいのではと思われるからです。

■ 一方で、飼育して、感作されているけれども症状がないという状況であれば、あえて飼うのを辞める必要性も低いのかもしれません。

■ ペットに関しては、時期、アレルゲン量などさまざまな要因がからむため、なかなか画一的な話は難しいですね。

 

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