Sasaki M, et al. Environmental factors associated with childhood eczema: Findings from a national web-based survey. Allergol Int 2016; 65:420-4.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27134054

 


アトピー性皮膚炎の発症・増悪因子は多種あります。これまでも、出生季節、児の出生前からのイヌ飼育、妊娠中の母の抑うつや不安、水の硬度、乳児期の抗生剤投与、5歳までのアトピー性皮膚炎発症予測因子などの報告をご紹介してきました。

妊娠中の母の抑うつや不安は、児のアトピー性皮膚炎発症に関係するかもしれない: コホート研究

水の硬度はアトピー性皮膚炎発症に影響するかもしれない

乳児期の抗生剤投与はその後のアトピー性皮膚炎発症リスクになる: システマティックレビュー

5歳までのアトピー性皮膚炎発症予測因子

ただ、それらは多くは海外からの検討でした。今回は本邦からの報告です。


 

P: 2012年6月に実施された、全国的なウェブ・ベースの調査をされた6-12歳の小児28348人

E: 年齢、性、体重、身長、家族歴、種々の環境要因

C: -

O: Current eczema(現在の湿疹≒アトピー性皮膚炎)に影響する因子

 

結果

■ ISAACで同定されたCurrent eczema(現在の湿疹)の罹患率は、13.0%であり、喘鳴、鼻炎、食物アレルギーの有病率と有意に関連していた。

■ 多項ロジスティック回帰モデルにおいて、秋生まれ(aOR:1.18、95%CI:1.06-1.31)または冬生まれ(aOR:1.21、95%CI:1.08-1.34)、少なくとも6ヵ月間の完全母乳栄養(aOR:1.14、95%CI:1.06-1.23、乳児期からのペット飼育(aOR:2.61の95%CI:1.68-4.07)は、Current eczemaの罹患率を有意に上昇させた。

■ さらに、有病率は、世帯年収が高い群(aOR:0.90、95%CI:0.81-0.99)と2人以上のきょうだい(aOR:0.86、95%CI:0.76-0.97)のほうが低かった

 

コメント

■ インターネットでの回答であり、結果に影響している可能性がありますが、インターネットの使用率が高い地域での疫学研究に関して、紙ベースのアンケート調査よりウェブ・アンケートのほうがバイアスが少なくなるという報告もあるそうです。

■ 乳児期からのイヌ飼育は、むしろアトピー性皮膚炎発症に抑制的に働いたり、年収の高さはアレルギー疾患の発症率を上げるといった報告もありますが、今回の検討では、ペット発症を上昇させ、年収の高さはむしろ発症を抑制するほうに働いていました

児の出生前からのイヌ飼育はアトピー性皮膚炎発症に予防的に働くかもしれない: 出生コホート研究

■ それ以外の、秋冬生まれが発症が多いは過去にも報告があります。母乳栄養に関しては、母乳中IL-1βが湿疹発症を減らすかもしれないという報告もありますので、なかなか横断研究のみで結論を出すのは難しそうです。

母乳中IL-1βは子どもの湿疹発症を減らすかもしれない: 出生コホート試験

■ 海外の報告であるような、イヌ飼育でアトピー性皮膚炎発症が減るというのは、どうしても日常診療の感覚とずれてしまうので、これらの結果は、日常診療を行っている我々にとっては、とても納得の行く結果でもあります。

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