Denlinger LC, et al. Inflammatory and Comorbid Features of Patients with Severe Asthma and Frequent Exacerbations. Am J Respir Crit Care Med 2017; 195:302-13.
喘息発作のフェノタイプ分類に関する研究たち。
■ 最近、喘息発作のフェノタイプ分類に関する論文紹介をいろいろ行ってきました(喘息の話題ばかり続いてすいません。)
■ フェノタイプというと、Early Transient、Persistent、Late Onset Wheezersといった分類を思い浮かべるかもしれませんが、リスク分類もフェノタイプ分類の一つと言えましょう。
救急外来での小児喘息治療失敗には、どのようなリスク要因があるか?
■ 結局リスク評価は、どのような介入をするのが適切なのかを考えるフェノタイプ分類につながりますし、予後を考えていくのはエンドタイプを予想することにつながる研究であると言えます。
■ そこで今回は、ステロイドを内服するような重症発作を起こす要因を検討した研究結果です。
SARPコホート研究に参加した709人に関し、ステロイドを3日以上内服するような発作を起こすリスク要因を確認した。
合理的根拠
■ 喘息の悪化頻度を減らすことは、喘息治療が支持される重要な基準であるものの、悪化しやすい喘息(exacerbation-prone asthma;EPA)の臨床的特徴の定義は不完全である。
目的
■ EPA(悪化しやすい喘息)に関連する臨床的、生理学的、炎症性、併存疾患による悪化因子を検討する。
方法
■ NHLBI Severe Asthma Research Program(SARP)-3からの試験開始時のデータが、分析された。
■ 増悪は、3日以上持続していた全身性コルチコステロイドの使用と定義された。
■ 過去1年間の悪化回数(無し、わずかに(1~2回)、悪化しやすい(≧3回))により患者を分類した。
■ SARP-1 + 2コホートからのデータを用いて、多変量モデルの反復を行った。
主な結果
■ SARP-3コホートにおける709人のうち、294人(41%)は悪化がなく、173人(24%)は前年に悪化しやすい傾向があった。
■ 通常重症度に関連する要因(喘息の持続時間、年齢、性別、人種、社会経済的状態)は、SARP-3の悪化頻度に関連しなかった。
■ 気管支拡張薬の反応性は、喘息の重症度からの悪化傾向の鑑別に役立った。
■ 多変量モデルによる検討によると、好酸球数・BMI・気管支拡張薬への反応性は、増悪頻度と明らかに関連した(RR[95%信頼区間]= 好酸球ログ単位ごと1.6[1.2-2.1]、BMI 10単位ごと1.3[1.1-1.4]、気管支拡張率が10%増強ごとに1.2[1.1-1.4])。
■ また、複数因子で調整しても、慢性副鼻腔炎と胃食道逆流は増悪頻度(1.7[1.4-2.1]と1.6[1.3-2.0])とも関連した。
結論
■ EPA(悪化しやすい喘息)は、悪化防止戦略のターゲティングへ影響する、明確なフェノタイプといえる。
結局、何がわかった?
✅好酸球数・肥満・気管支拡張薬への反応性は、ステロイドを内服するような喘息増悪頻度と明らかに関連した。
✅慢性副鼻腔炎と胃食道逆流も増悪頻度と関連した。
リスク因子・フェノタイプ分類の因子としての好酸球に関し、改めて注目されてきています。
■ 好酸球ほど、アレルギーへの関与に関し、紆余曲折したバイオマーカーはないかもしれません。
■ 最近、生物学的製剤が上梓され、好酸球数をマーカーにするものもあり、再度注目されています。ヌーカラは好酸球性でない喘息には効果は薄く、初期の報告では有意な効果が出なかったという先行研究があるのです。
ヌーカラは、好酸球性重症喘息による入院率を約半分にする: メタアナリシス
■ そこで後日、最近の好酸球性炎症に関する論文もUPしようと思っています(Eur Respir J 2014; 44:97-108.)
今日のまとめ!
✅ステロイドを内服しなければならないような重篤な発作のリスク因子に関し、好酸球数・肥満・気管支拡張薬への反応性・慢性副鼻腔炎・胃食道逆流が特定された。