以下、論文紹介と解説です。

Kamemura N, Sugimoto M, Tamehiro N, Adachi R, Tomonari S, Watanabe T, et al. Cross-allergenicity of crustacean and the edible insect Gryllus bimaculatus in patients with shrimp allergy. Molecular immunology 2019; 106:127-34.

エビアレルギーのある9名、エビアレルギーのない6名の血清を用いて、コオロギ摂取に伴うアレルギー反応のリスクを評価した。

■ 先進国だけでなく、多くの発展途上国でも食糧不足は深刻な問題である。

■ そして近年、食用昆虫は新たな食料源として注目されている。

■ 特にコオロギは栄養価が高く、飼育や収穫が容易である。

■ 本研究では、甲殻類アレルギーを持つ人を対象に、コオロギ摂取に伴うアレルギー反応のリスクを評価した。

■ エビアレルギー患者におけるGryllus bimaculatus(コオロギ)の摂取における食物アレルギーリスクを、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)およびIgE crosslinking-induced luciferase expression assay(EXiLE)を用いて評価した。

■ エビアレルギー患者(ImmunoCAPによるエビ特異的IgE陽性(>0.35 UA/mL,n=9)および非アレルギー患者(エビ特異的IgE陰性,n=6)から血清を入手した。

■ ELISAで得られたエビ特異的IgE値とGryllus特異的IgE値の間には強い相関があった(rs=0.99;P<0.001)。

■ エビ特異的 IgE のエビ・アレルゲンへの結合はGryllusアレルゲン(0-1.0 mg/mL)により用量依存的に阻害された。

■ EXiLE 法で評価したところ、エビ特異的 IgE 反応とGryllus特異的 IgE 反応には強い相関があった(rs = 0.89; P < 0.001)。

■ ImmunoCAPにより,エビ特異的IgEの陽性血清には約40kDaのタンパク質が反応し,陰性血清には反応しないことを明らかにした。

■ 液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)分析により、エビとGryllusにおける主要アレルゲンはトロポミオシンであることが確認された。

■ このデータは、コオロギアレルゲンが甲殻類アレルギーを持つ個体にアレルギー反応を誘発する可能性があることを示唆している。

■ したがって、コオロギ食を摂取する前に、アレルギーのリスクとエビ特異的IgE値を考慮する必要がある。

 

昆虫とエビがアレルギー的には親しい…というと、食べられなくなるかもしれませんが、今後役に立つ知識かもしれません。

■ 当面は、昆虫食が主流になるとは思えないのですが、昆虫は、高タンパク質、ビタミン、ミネラルを含む健康食品であるそうです。

■ 今後食糧難などになれば考えなければならないのかもしれません。

■ その際に、この知識が役に立つ…ことないのを祈りたいです。

 

■ その前に、エビと、ダニやゴキブリがアレルギー的に親しい…というと、食べられなくなりますかね…

 

 

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