以下、論文紹介と解説です。

Gibson PG, et al. Effect of azithromycin on asthma exacerbations and quality of life in adults with persistent uncontrolled asthma (AMAZES): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. The Lancet 2017; 390:659-68.

吸入ステロイド薬もしくは長時間作用性気管支拡張薬を使用しても十分なコントロールができていない成人気管支喘息患者420人を、アジスロマイシン群213例とプラセボ群207例にランダム化し、中等症以上の喘息増悪の率を比較した。

背景

■ 喘息の増悪は、世界的に大きな疾病負担である。

■ 維持療法にもかかわらずコントロールされていない成人持続性喘息は、追加治療が必要である。

■ マクロライド系抗生物質は持続性喘息の治療に使用されうるため、中~高用量吸入ステロイド薬+長時間作用型気管支拡張薬によるコントロールされていない持続性喘息患者における追加療法としての経口アジスロマイシンの有効性と安全性を評価することを意図した。

 

方法

■ ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を行い、吸入ステロイドおよび長時間作用型気管支拡張薬の使用中にもかかわらず、喘息症状のある成人(18歳以上)において経口アジスロマイシンが喘息増悪の頻度を減少させるかどうか、または聴力障害または補正QT間隔の延長がないかどうかを調べた。

■ 参加者はアジスロマイシン500mgまたはプラセボを週3回48週間投与する群にランダムに割り付けられた(1:1)。

■ そして4または6の置換ブロックと喫煙歴による層別化により、コンピュータ生成乱数表からのブラインドのランダム割付を用いて割り付けられた。

■ 有効性の主要評価項目は、48週間にわたる喘息の総増悪率(重篤なもしくは中等度)および喘息のQOLだった。

■ データはintention-to-treatに基づいて解析された。

■ この試験はAustralian and New Zealand Clinical Trials Registry (ANZCTR)第12609000197235番に登録されている。

 

評価結果

■ 2009年6月12日~2015年1月31日に、420人がランダムに割り付けられた(アジスロマイシン群213例、プラセボ群207例)

アジスロマイシン群(1.07人/年 [95% CI0·85–1·29])はプラセボ群(1.86人/年[1.54-2.18])と比較して喘息増悪が減少した(罹患率比[incidence rate ratio; IRR] 0.59 [95%CI 0·47–0·74]; p<0·0001)

■ 少なくとも1回の喘息増悪を経験する患者の率は、アジスロマイシン治療により減少した(プラセボ群 127例[61%] vsアジスロマイシン群 94例[44%]; p<0.0001)。

■ アジスロマイシンは喘息関連のQOLを有意に改善した(調整後の平均差 0.36[95%CI 0.21–0.52]; p=0·001)。

■ 下痢はアジスロマイシン治療患者でより見受けられた(72人[34%] vs 39人[19%]; p=0·001)。

 

解釈

■ 成人持続性症候性喘息に対しアジスロマイシンを48週間経口投与すると喘息の増悪が少なく、QOLが改善する。

■ アジスロマイシンは持続性喘息における有用な追加療法である可能性がある。

 

資金調達

■ National Health and Medical Research Council of Australia,John Hunter Hospital Charitable Trust.

 

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アジスロマイシンは、ICS/LABAで十分コントロールできない喘息に有効かもしれない。

■ GINA2019にも記載があるように、このアジスロマイシンを使用するという喘息コントロール治療は、『オフラベル(保険適応外)』の使用方法です。

■ さらに言えば、日本では長期間のアジスロマイシン治療も行われていません。ですので、積極的に使うわけにも行きません。

■ 一方で、1~3歳の喘鳴発作時にジスロマックを3日間投与すると、喘鳴エピソードを63.3%短縮し、介入までの期間が短いほど効果が高かったという報告や、慢性咳嗽に対する報告などもあります。

■ ですので、今後は、オプションとして考えていくことになるのかもしれません。もちろん、アジスロマイシンはQT延長症候群や、抗菌薬の耐性の問題もありますので、あくまで重症に限ることにはなりそうです。

 

今日のまとめ!

 ✅ ICS/LABAでコントロールが難しい成人喘息に対し、アジスロマイシンを使用すると増悪率が低下する。

 

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