【部分訳】食物経口免疫療法総論(第2回/全4回):ピーナッツ・卵

Wood RA. Oral Immunotherapy for Food Allergy. J Investig Allergol Clin Immunol 2017; 27:151-9.

食物経口免疫療法の第2回。各論にはいります。

■ 少々体調不良で、文章がおかしな箇所があるかもしれませんが、もし問題があればご指摘ください。

■ 前回は、食物アレルギーの経口免疫療法(Oral Immunotherapy)のイントロダクションをご紹介いたしました。

■ 実際のOITに関しては決して簡単ではないわけですが、ピーナッツ、卵、牛乳に関しては、かなり報告が増えています。今回は、アレルゲン各々の報告に関する各論です。一部省略したり、意訳していることをご了承ください。

 

 

 ピーナッツ・卵に対する免疫療法。

ピーナッツ経口免疫療法(OIT)

1992年に、下ピーナッツ免疫療法の実施が初めて報告された。しかし、このアプローチは重篤な全身反応のために中止された。

■ 2006年に、ピーナッツOITケースレポート2例が報告され、2009年に最初のピーナッツOITオープンラベル試験が発表された。これらは脱感作と安全性プロファイルを示した。

■ ピーナッツタンパク質1800 mgの維持量でプロトコルを完了した29人のうち93%が、36カ月目の経口負荷試験でピーナッツタンパク質総投与量3.9 gに耐性を示した。

■ 2010年、Blumchenらは、維持量としてピーナッツタンパク質500mgを9週間毎日摂取した小児23人が、経口食物負荷試験を60%達成するという結果を報告した。

■ 2011年、Varshneyらは、最初の多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照ピーナッツOITの研究結果を報告した。1〜16歳の28人がピーナッツまたはプラセボを1日4gを約1年間摂取した。有害反応のために3人が早期に離脱したが、介入終了時の二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)では、プラセボ群9例が中央値280mgに耐性を示したの比較して、OIT群16例はピーナッツタンパク質5g(~ピーナッツ16粒)を摂取できるようになった。プラセボ群と比較し、摂取群の皮膚テストの反応低下、ならびに血清IL-5、IL-13、CD4 + CD25 + FoxP3 +制御性T細胞の変化も示唆された。

■ 2011年、AnagnostouらはピーナッツOITの前向きコホート研究の結果を報告した。小児22人はピーナッツタンパク質800 mgを32週間毎日摂取し、86%はピーナッツ増量でき負荷閾値の有意な増加を示し、試験終了時に14人/22人(64%)がピーナッツタンパク質6.6gに耐性を示した。

■ 2014年に同チームは、ピーナッツOITを用いた無作為化対照試験(RCT)を維持用量800mgで実施した。第1フェーズでは、各群でピーナッツOITとピーナッツ除去26週間を実施し、その後、ピーナッツタンパク質1400mgの負荷試験を受けた。対照群はひとりも耐性しなかったのと比較し、OIT群は39人中24人(62%)が耐性を示した。第2フェーズでは、対照群がピーナッツOITを実施され、第2フェーズの終了時に対照群の91%は、ピーナッツ蛋白質800mg摂取に耐性を示した(第1フェーズ終了時にOIT群では84%が耐性を示した)。

ピーナッツOITに続き、2014年に最初のSUの研究が発表された。1〜16歳の24人が、最大5年間にわたりピーナッツタンパク質4000mg維持投与するOITを完了した。そして、OIT中止1ヶ月後、ピーナッツ蛋白質5000mgの経口負荷試験により、50%の患者がSUであった。SUであった患者は、免疫的な変化がより大きいことが示された(Ara h1/Ara h2を含むピーナッツ特異的IgE抗体価がより低く、ピーナッツ特異的IgE /総IgE比がより低く、皮膚テスト径がより小さい)。

 

管理人注;SUはSustained unresponsiveness(持続的な不応答性)と言われるもので、免疫療法後でも、短期間の摂取中止でも任意にアレルゲンである食物を摂取することが十分に許容されるようになった状態です。すなわち、経口免疫療法をすすめていって目標量が食べられるようになったら「脱感作」、どんなに自由に中断しても問題ない段階で「耐性」、その中間で数週間~数か月中断するという研究目的の方法でも問題ないのがSUになります。

 

■ 別のピーナッツ舌下免疫療法(SLIT)とOITと比較した研究では、OITがSLITよりはるかに優れているものの、OITの20例ののうちのわずか4例しかSUを達成していないことが示された。

■ さらに最近のオープンラベルランダム化比較試験(RCT)は、目標維持量300mg /日または3000mg /日に無作為に割り付け、9〜36カ月児におけるピーナッツOITを検討した。中央値29ヵ月間の治療終了後のITT解析では、37人中29人(78%)が4週間後のSUを達成し、300mg群(85%)および3000mg群(71%)のSU達成率は同等だった。Per Protocol解析では、32人中29人(91%)がSUを達成した。このような若年小児でさえも、治療に忍容性があることは、安心材料である。

 

 

鶏卵OIT

■ Patriarcaらの初期の2研究では、卵OITで治療した少数例で、多くが脱感作に成功したことが報告された。

■ Buchananらは、14カ月〜7歳の7人について、300mg毎日の維持用量で24ヶ月の卵OITを実施し、治療終了時に57%が経口食物チャレンジを通過したことを報告した。さらに同センターのフォローアップ研究では、より高い用量(中央値2400mg)で中央値33ヶ月間治療された患者は、治療を中止してから1ヶ月後も75%のSU率(8人中6人)を報告した。

■ Stadenらは、 最初の無作為化OIT試験を実施し、卵または牛乳OITでそれぞれ1.6g /日または3.5g /日の維持用量もしくは対照としての除去食を指示された小児45人を報告した。牛乳と卵の結果は別々になっていなかったが、患者の11人は卵アレルギーであった。中央値21ヵ月間の介入後、介入群は16/25人(64%)、すなわち完全耐性は9人、部分耐性は7人だったが、対照群は20人中7人(35%)にアレルギー性食品を導入できたと報告した。

■ Morissetらはまた、牛乳アレルギーの子ども60人と卵アレルギーの子ども90人を無作為比較試験で検討した。患者をOITまたはアレルゲン除去に無作為に割り付け、治療6ヵ月後には卵OIT群の69%が脱感作された。

■ 2012年、Burksらは、最初の多施設二重盲検ランダム化プラセボ対照卵OIT試験の結果を発表した。 5〜11歳の55人に、卵タンパク質の2グラムを維持投与し、卵DBPCFCを10および22ヶ月間で実施した。22ヵ月時点で負荷試験陰性である患者については、OITを6~8週間中止し、SUを確認するために食物負荷試験を行った。10ヶ月後のDBPCFCでは、OIT群の55% が脱感作し、プラセボ患者15人には脱感作がひとりもいなかったOIT開始22ヶ月後、40人中30人(75%)が脱感作されたが、6〜8週間摂取中断後の再負荷試験でSUを示したのはわずか11人(28%)だった。

 

論文から引用。ピーナッツ・卵・乳の最近のOIT。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅1992年に実施されたピーナッツSCIT(皮下免疫療法)は重篤な副反応の出現のため中止となった。

 ✅2006年に始まったOIT(経口免疫療法)は、最初は症例報告から始まり、徐々に発展を見せている。

 ✅少なくとも、卵・ピーナッツに関しては、脱感作(継続して摂取すれば維持できる)は高率に達成できている。

 ✅しかし、中断すると脱感作が失われる例も多く、一時中断して再度摂取しても問題のないSU(Sustained unresponsiveness)は決して高率とは言えない。

 

 

 

 卵・ピーナッツに関して、脱感作率は高いもののSUの達成は不十分だった。

■ 卵・ピーナッツに関しては、少なくとも脱感作率は高く、「食べられるようになる」と言えます。しかし、中断するとその脱感作は外れてしまう可能性があります。

■ つまり、今回報道になった有害事象のために「心配になって中断する」と「食べられなくなってしまう」可能性があります。もし免疫療法を実施されていてご心配な場合は、是非、主治医とご相談ください。

 

他の情報の補足。

■ 本邦でも、卵に関しての報告としては、相模原病院の柳田先生らから、「少量で継続摂取することによる治療」が報告されています。

■ また、SUの導入率は、長期間摂取継続すると上昇することが示されています。

 

明日以降、牛乳の免疫療法や、安全性や補助療法に関して情報提供いたします。

■ 次回以降に、乳や他の食物の免疫療法、さらに安全性や補助的治療に関して言及させていただきます。ただ、明日も夜間の小児救急にも行かなければならないのと、週末の学会準備があって、自分の体調をあわせると週末の更新が難しいかもしれません。来週にかけてご紹介できるように頑張ってみます。

■ よろしくお願いいたします。

 

 

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