【部分訳】食物経口免疫療法総論(第3回/全4回):乳・その他

Wood RA. Oral Immunotherapy for Food Allergy. J Investig Allergol Clin Immunol 2017; 27:151-9.

 牛乳は特に経口免疫療法が難しいのかもしれません。

■ 遅くなりましたが、新しい記事をUPします。

■ これまで、経口免疫療法に関し、総論と各論(ピーナッツ、鶏卵)のレビューを翻訳して提示させていただきました。

■ 今回は、牛乳やその他の食品に関する経口免疫療法のレビューになります。

■ 私は、牛乳に対する経口免疫療法は難しいのではないかとよく感じます。一方で、除去食により栄養障害をきたしやすい食物でもあると考えています。

 

 

 牛乳とその他の食物、複数の食物の同時の免疫療法やオマリズマブ。

牛乳OIT

■ Patriarcaらは、卵と同様に牛乳OITの最初の研究を報告し、2件の小規模試験において、65.5%と100%の脱感作率だったとした。

■ 2004年にMeglioらは、小児21人を対象とし6カ月間のOITを実施したパイロット研究を報告した。目標用量を毎日牛乳200mLとし、72%が達成し、部分脱感作も14%達成した。さらに、4年間のフォローアップでは、70%が少なくとも部分的な牛乳耐性を有しており、血清特異的CM IgEおよび皮膚プリックテスト結果は有意に低下した。

■ 他の多くの無作為化されていない牛乳OIT試験も、脱感作の達成におおむね成功した。

■ 卵OITについて示したように、牛乳OITの最初のランダム化比較試験はStadenらによって報告された。

2008年、Longoらは、重症牛乳アレルギーの病歴と牛乳特異的IgE高値である小児60人のRCTを報告した。1年の介入後、対照群ではひとりも負荷試験をクリアできなかったが、介入群のうち36%がOFCをクリアし、54%が部分耐性を示した

■ 2008年、Skripakらは、牛乳OITにおける初のプラセボ対照OIT試験を報告した。試験開始時の牛乳負荷閾値の中央値が40mgであり、プラセボ群は有意に上昇しなかったが、介入群は3〜4ヶ月後に閾値が5140mgに上昇した。

■ 継続的な牛乳摂取を指示したオープンラベル試験では、3〜17ヶ月間のフォローアップで牛乳タンパク質1000〜16000mg(中央値7000mg、33%が耐性16000mg)に耐性が誘導された。

■ その他、2010年のPajnoらの研究や、2013年に同グループから、脱感作後の毎日または毎週2回の継続投与が、脱感作の維持において同等であることが報告された。

■ 2011年にMartorellらは、24から36ヶ月の小児60人を対象にランダム化比較試験を実施し、1年間の介入で90%の脱感作を報告した。

■ Salmivesiらは、学童期の小児にランダム化比較試験を実施し、幼児OITと同様の効果を示した。

2012年にKeetらは、牛乳OITと舌下免疫療法(SLIT)を比較するオープンラベルランダム化比較試験を発表した。参加者はすべて、最初SLITで治療された後、SLITを継続するか、またはOITに変更するという介入に無作為化された。この試験では、OITの有効性が高かったものの、重症の副反応の発生率が高いことが示された。このKeetらの検討では、治療を1週間および6週間中止した後、SUを検討したところ、6週間治療を中止すると対象の40%しかOFCをパスせず、わずか1週間で2人の耐性が失われることが示された。

■ SkripakとKeetによる牛乳OIT 32人の追跡調査による報告は、治療成功した多くの患者でSUであると考えられたものでさえ、治療終了後3〜5年経過しても完全に牛乳耐性であると考えられる患者はわずか31%だった 。

■ 牛乳アレルギーの患者の多くは、強く加熱された牛乳に耐性があり、強く加熱された牛乳の摂取が、最終的に加熱されていない牛乳に対する耐性を促進するのに役立つとしている。

■ Goldbergらによる最近の研究では、牛乳OITに忍容性がなかった患者に対し、baked milkを用いてOITを実施しこの概念を適応しようとした[51]。しかし、重篤な牛乳アレルギーのある、この研究に参加した群では、baked milk 1.3gに耐性をしめしたのは14人中3人のみだった。治療失敗した11人のうち、8人はIgE依存性反応、3人IgEに依存しない因子のためのプロトコルを完了できなかった。

 

他の食物OITと複数アレルゲンOIT

■ これまでのほとんどの研究は牛乳、卵、ピーナッツに焦点を当てていた。しかし、他の一般的な食物アレルギーを治療する可能性にも大きな関心が寄せられている。

■ 現在、小麦、ナッツ類、魚、他の食物アレルギーのOIT研究が進行中である。

■ 最近、Satoらは、小麦によるアナフィラキシー患者のOITの有効性を検討した。この治療は未処理の患者の歴史的対照群を用いたオープンラベル試験で、コムギタンパク質5.2グラムを含む200グラムの小麦うどんが使用された。18人中16人が目標用量を達成し、そのうちの11人(61.1%)が2週間後のSUを確認するOFCをパスした。Satoらは、極めて重症の小麦アレルギー患者であっても、茹でうどんによるOITは安全で効果的であると結論した。

 

複数の食物アレルギーを同時に治療・オマリズマブによる補助治療

■ 大多数の小児が複数の食物にアレルギーを起こしているという事実を考慮すると、同時に複数の食物を同時に治療する可能性にも関心が集まっている。複数のアレルゲン食物に対する多数のOITの研究が現在進行中であり、オマリズマブを併用投与しない研究もあれば、併用しない研究もある。

■ 今まで、予備的データは、ピーナッツに対する単一OIT治療と5種類までの食物を用いたOITにおいて、副反応と有効性は同様の結果だった。

■ オマリズマブによる前処置の後、複数の食物に対する急速OITによる脱感作が成功したという、第2フェーズの研究が発表されている。副反応率は、100の用量につき中央値3.2であり、比較的低値だった。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅乳やその他の食物に対する経口免疫療法に関する情報がまとめられていた。

 ✅乳も高い脱感作率を示している。しかし比較的有害事象が多く、SUの達成も少ない。

 

 

 牛乳経口免疫療法の難しさ。

■ 牛乳は、除去をすると栄養障害が起きやすい一方で、経口免疫療法は難しい、そういったジレンマがある難敵だと思います。しかも、牛乳アレルギーは小児にとても多い食物アレルギーです。

■ 一方で、栄養に関しては、低アレルゲンミルクという大きな武器もあります。多くは低アレルゲンミルクが摂取できます(極稀には症状をきたすことはあります)。

■ また、新生児・乳児消化管アレルギーという、特殊型が比較的多い相手でもあります。

■ 早期に人工乳を開始しておくと、牛乳アレルギーの発症が少ないということもあり、アレルギーの面では、混合乳の方がいいのではと思う反面、小児科医としては完全母乳を勧めるべきなのではないかというジレンマに、やはり陥る相手です。

■ 牛乳に対する免疫療法は悩みが深いです。

■ 次回は、食物経口免疫療法総論(第4回/全4回):安全性・補助療法です。